生活道路の決まり「ゾーン30」なぜ速度は30km規制? 致死率から見る「30km/h」と規制する理由は
街中には、「ゾーン30」と書かれた速度30km規制の区域が存在します。そもそもなぜ30km/hに規制されているのでしょうか。
「ゾーン30」最高速度を時速30kmに規制する理由は?
生活道路には歩行者などの安全を確保するため、「ゾーン30」と呼ばれる時速30km制限の区域が設けられることがあります。
では、なぜ時速を30kmに制限するのでしょうか。
ゾーン30は、歩行者や自転車が生活道路を安全に通行できるよう、一定の区域(ゾーン)で最高速度を時速30kmに制限する交通安全対策のひとつです。
区域内でのクルマの速度を抑制したり、できる限り生活道路を抜け道として利用させないようにしています。
警察庁の資料では、ゾーン30は地域住民の要望や道路の交通量、交通事故の発生状況などを踏まえつつ、生活道路の中でも通学路が含まれている区域や高齢者・子どもが利用する施設を含む区域、観光客など多数の歩行者が通行する区域で整備されています。
2020年度末時点でゾーン30は全国に4031か所あります。例えば東京都港区にある芝浦小学校の周囲や、杉並区の高円寺駅近くの生活道路がゾーン30の区域です。
小学校の周囲は子どもが多く、また駅の周囲は歩行者が多数通行するため整備されたものと考えられます。
ゾーン30内は最高速度が時速30kmと制限されているため、それ以上のスピードを出せばもちろん取り締まりを受ける可能性があります。
最近では、警察が狭い生活道路において移動式オービスを使ってスピード違反を取り締まっており、実際に静岡県沼津市にある「ゾーン30プラス」と呼ばれる区域でもオービスによる取り締まりが実施されていました。
ではそもそも、なぜ最高速度を時速30kmに制限するのでしょうか。
その理由は、クルマと歩行者の事故においてクルマの速度が時速30kmを超えると歩行者の致死率が急激に上昇すると分析されているためです。
警察庁の「自動車の速度と歩行者の致死率」のデータでは、クルマが時速0~20kmのとき0.4%、20~30kmのとき0.9%、30~40kmのとき2.7%という結果が出ています。
さらに、クルマが時速40~50kmになると致死率は7.8%、時速50〜60kmにいたっては致死率17.4%となり、時速30kmを境に致死率が上昇すると判明しています。
このように、ゾーン30の速度規制はデータに基づいて合理的に決められているのです。
交通事故を防止するため、また警察から取り締まりを受けないためにもゾーン30を見落とさないことが大切ですが、ゾーン30ではドライバーから分かりやすいようにさまざまな工夫がされています。
例えば、時速30km制限が始まる入口部分に最高速度30kmの速度規制標識や、ゾーン30と書かれた路面表示、ゾーン30を表すシンボルマークの看板などが設置されています。
さらに、区域内にはクルマの速度を抑制するための仕組みとして、「ハンプ」と呼ばれる路面の盛り上がりを設けてクルマを一時的に押し上げる設備や、道路にポールを立てて幅員を狭くする「狭さく」と呼ばれる設備もあります。
道路の形状をスラロームやクランクにすることで、クルマが速度を出しにくくする取り組みをおこなっているケースもあります。
そのほか、ゾーン30の区域内では路面表示を緑色や赤色などでペイントしていることも多く、一時停止のある交差点や横断歩道にペイントが施されている場所もあるため、路面標示にも着目してみると良いでしょう。
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ゾーン30は、生活道路において歩行者や自転車を安全に通行させるために整備されています。
最高速度を時速30kmに設定しているのは、クルマと歩行者の交通事故において時速30kmを超えると歩行者の致死率が急上昇するというデータに基づいたものです。
ゾーン30内ではスピードを落とし、より一層の安全運転に努めましょう。
実際、守る人が殆ど居ないでしょうから車載カメラで標識を認識してアクセル踏んでも30キロ以上出ないようにもできるでしょ。
スーパーやコンビニの敷地内でも車載カメラに認識する位置に強制的に止まるマークなどを付けるなど、止まるべき場所で止まらない。徐行すべき場所で徐行しないドライバーに対する強制力も必要でしょう。