昔とは別物!? ホンダの最新4WDがめちゃ頼もしい! 雪道で見せた新型「ZR-V」驚きの走りとは?
「アクセルで曲がる」感覚を味わえる
一方で、ZR-Vの4WDが、安心できるだけではなかったのがコーナリング。FFに比べるとスリップによる走行安定性の乱れがないのは当然ですが、ドライバーの腕次第ではアクセルを踏みながらグイグイ曲がっていくような気持ち良い走りまで実現してくれるから楽しいのです。
旋回中にアクセルを踏み込むとクルマがアンダーステア(外側へ向かう)気味になるのではなく、むしろ適度に内側へ向かっていくので爽快。いわゆる「アクセルで曲がる」感覚を味わえます。
その理由は、後輪に伝わるトルクを高める(現行型「ヴェゼル」に対しても後輪トルクの立ち上がりを鋭くしている)とともに、スリップアングル(車両の旋回姿勢)を緻密に算出しそれを反映してリヤトルクを出すセッティングとしているから。
4WDは単に発進や加速をサポートするのにとどまらず、ニュートラルステアを目指しハンドリングにもメリットを与えるセッティングとしているのです。
ちなみに今回は滑りやすい雪道で試乗してハンドリングの良さを実感したものの、この4WDのメリットは雪道だけにとどまりません。
昨今は一般的なSUVにおいても前後トルク配分をアクティブかつ綿密に制御して舗装路でのハンドリングをよくする効果をもたせた車種が増えていますが、ZR-VもFFモデルと4WDモデルを峠道などで比べると4WDモデルのほうがしっかり曲がるハンドリングとなっているのです。
そんなZR-Vにはホンダの国内向けモデルとしてははじめてドライブモードセレクターとして「スノーモード」が組み込まれています。ATプログラムのスノーモードは搭載車種がありましたが、ドライブモード切り替えとしては初採用です。
そのメリットは4WDモデルよりもFFモデルのほうが強く実感できるものでした。理由は、FFモデルは滑りやすい路面でのタイヤの空転が多く発生するが4WDモデルはそもそも空転が少ないからです。
スノーモードの大きな働きは、空転しそうになるとエンジン出力を絞ってスムーズに加速させることですが、絞りすぎる感覚もなく、加速もしっかりすることに驚きました。
タイヤの能力を上手に使いきる制御といえるもので、しっかり効く一方でおせっかいすぎないさじ加減が絶妙だと感じました。
ZR-VのFFモデルに乗るユーザーは、雪道では忘れずにスノーモードを活用すべきでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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