マツダが「ロータリーエンジン」を復活させた! ファンは「RX-VISION」を期待!? 斬新なエンジン活用法をファンはどう見るのか
マツダの「ロータリーエンジン」が駆動用のエンジンではなく発電機として復活しました。従来のロータリーエンジン搭載車のファンは、新たな活用方法をどう捉えているのでしょうか。
電気自動車ではなくPHEVだった!
「ロータリーエンジン」といえばマツダのアイデンティティのひとつであり、ロータリーターボを搭載していた「RX-7」や現状最後のロータリーエンジン搭載車である「RX-8」の販売が2012年に終了してからも、マツダが2015年にコンセプトモデル「RX-VISION」をお披露目するなど、多くのファンに愛されて続けているエンジンです。
そのロータリーエンジンは、これまで幾度となく搭載車両の復活が予想され、マツダとしてもロータリーエンジンの搭載を示唆するようなコンセプトカーを発表してきましたが、今回、いよいよロータリーエンジンを搭載する新モデルの登場が欧州でアナウンスされました
それがSUVの「MX-30」をベースとした「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」と名付けられた、ロータリーエンジンを発電機として搭載するプラグインハイブリッドモデルです。
ロータリーエンジンの発電機としての可能性は以前から取り沙汰されており、復活第1弾としては順当なものといえそうですが、今回のMX-30はエンジンをレンジエクステンダー(バッテリーに電気を蓄えEVの航続距離を延長させるための発電機)として使用するのではなく、シリーズハイブリッドの発電機として使うというのが大方の予想と反するポイントでしょう。
シリーズハイブリッドとは、日産の「e-POWER」シリーズに代表されるハイブリッドシステムのひとつで、エンジンは駆動系に一切繋がっておらず、エンジンで発電した電気をモーターに供給して走行するハイブリッドシステムです。
これはロータリーエンジンが一定回転数で回り続けることを得意とするという特徴を活かしたものであり、ある意味理にかなったものといえるのです。
ただ、マツダのロータリーファンの反応は冷ややかなものが多く、「燃費の悪いロータリーエンジンを発電機として使うなんて」という誤った見解や、「今さらMX-30に搭載しても……」というような声もありました。
しかしロータリーエンジンが一定の回転数で回り続ける場合はレシプロエンジンに匹敵する燃費性能を持ち合わせており、MX-30はもともとEVとして使われることを前提としたシャシを持っているため、ロータリー復活第1弾としては適切なものと考えます。
ファンとしては新型スポーツカーにロータリーエンジンを搭載し、華々しく復活をして欲しかったという気持ちもあったというのは分かりますが、スポーツカー冬の時代にいきなりロータリースポーツモデルを登場させても一部のコアなファン以外にも受け入れられることは難しいでしょう。
そもそもロータリーエンジンは前述したように、一定回転数で粛々と回り続ける特徴があり、これは裏を返せば回転数が上下動する駆動用エンジンとしては、多くの人がイメージしているように燃費性能は決して高くありません。
現在は燃費基準や騒音基準など、クルマにまつわる規制が年々厳しくなっています。それらをクリアする新時代のロータリーエンジンを開発するためには、多くの費用と時間をかけ、数々の高いハードルを乗り越える必要があります。
マツダもイメージ戦略のためだけにロータリーエンジンに巨額の開発費を投入し続けるわけにはいきませんから、まずは発電機としてのロータリーを発表したということでしょう。
そう考えると、今回の「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」は、将来的に駆動用ロータリーエンジンを搭載したモデルが登場するための試金石と捉えて歓迎するべきではないでしょうか。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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