クルマの燃料「常に満タン」が理想!? 最新「エコカー」では“例外”も? 「満タン」VS「節約給油」の結論とは

しかし満タンにせず「途中で給油」が良い「例外」ケースも!?

 不慣れな旅先でのガス欠や、万が一の災害での燃料不足の事態を考えると、燃料は常に満タンにしておくのが理想です。

 最近では樹脂製の燃料タンクが増えたこともあり、あまり話題になりませんが、以前は燃料が少ない状態であると燃料タンク内の水分が錆を発生させるとされ、燃料タンクに水抜き剤を入れたり、水分が結露しないよう、なるべく満タンにしたりすることもおススメされていました。

 ただし例外もあります。

セルフ式スタンドでの入れ間違いを防止するため、燃料の種類ごとに異なる色で区分けされています。軽油は「緑色」です[画像はイメージ]
セルフ式スタンドでの入れ間違いを防止するため、燃料の種類ごとに異なる色で区分けされています。軽油は「緑色」です[画像はイメージ]

 例えばPHEVなど、最近の非常に低燃費なエコカーは燃料の消費が少なく、なかには給油は半年に1回もしないというドライバーの話も聞きます。

 長期の燃料保管は燃料劣化の要因となってしまうので、そのような人の場合は常に満タンにすることも考え物です。

 大手石油会社によると、水分・空気との接触など保管状況の違いにより劣化への影響が異なるとの理由で、品質保持期限(保証期間)は設けていないとのこと。

 一般的には、気温変化の少ない冷暗所での保管であれば、ガソリンや軽油は半年程度では使用に関して問題がないと記載されています。

 しかし、購入から半年の品質を保証するものではないとの理由で、なるべく早めの使用(入れ替え)を推奨しています。

 なお、使用推奨期間を超えて保存した場合は、燃料の酸化が進み、場合によっては燃焼不良などの不具合を引き起こすおそれがあるとのことで注意が必要です。

 万が一に備えた満タン給油が理想ですが、ドライバーのクルマの使用状況に応じて、2~3か月で使いきれる量を目安に定期的に給油しておくのが現実的といえるかもしれません。

 クルマの重要なメンテナンスのひとつとして、タイヤの空気圧点検があります。ガソリンスタンドでの空気圧の点検も兼ねて、定期的に給油するのも良いでしょう。

※ ※ ※

 またディーゼルエンジンを搭載したクルマ(ディーゼル車)の場合は、もうひとつの例外事項があります。

 ディーゼル車の燃料である軽油は冬季に凍る恐れがあり、寒冷地を中心に凍結しにくい特性の軽油が販売されているのです。

 そのためディーゼル車の取扱い説明書には、寒冷地に移動する際、到着するまでに燃料の残量が1/2以下になるようにしておき、なるべく早く現地で燃料を補給し混合させることを推奨する主旨が記載されていたりします。

 温暖な都内などで軽油を満タンにしてしまうと、低燃費なクリーンディーゼル車の場合、燃料があまり減らず、東北や上信越などの寒冷地で給油する量が少なくなってしまい、結果、軽油が凍結する恐れもあります。

 ディーゼル車で寒冷地に向かう場合は、計画的に満タンにせず、現地で給油できるようにしておくとよいでしょう。

 ただし、夜間のうちに移動してスキーに行く際などは、到着した時に現地の給油所が夜間休業となっており、思ったタイミングで給油ができない場合や休日休業の場合があります。

 また、高速道路走行中に燃料が少ない場合は、大雪による渋滞や通行止めの際の不安もあります。

 そこで寒冷地向け燃料は、高速道路のSAやPAに設置されているガソリンスタンドで給油することをおススメします。

 すべてのガソリンスタンドが対応しているわけではないですが、季節に応じて凍結しにくい「3号軽油」や「特3号軽油」を取り扱っているガソリンスタンドがあります。

 例えば、都心から近い埼玉県の蓮田SA(東北自動車道)や三芳PA(関越自動車道)でも、3号軽油の給油が可能です。

 なお寒冷地仕様の軽油は販売期間が決まっているほか、同一のSA・PAでも下り線のみの販売とするなど、一律の取り扱いではありません。

 各高速道路会社の公式ウェブサイト上では「サービスエリアのガスステーション」を紹介するページがあるので、ディーゼル車を保有するユーザーは、事前に確認しておくことをオススメします。

※ ※ ※

 カーナビやスマホナビの普及が進み、ガソリンスタンドの場所が事前に把握しやすくなったこともあり、これまで以上に給油に対しての利便性が高まっています。

 ところが地図上ではあるはずのガソリンスタンドが現地では廃業になっていたり、コロナ禍の影響もあって実際の営業時間が短縮されていたりと、思わぬ給油難民になる可能性も増えてきているのも事実です。

 災害への備えという面からも常に満タンとしておくことが理想的ですが、一方で燃費が良く稼働率の低いエコカーの場合は、燃料の保管期間を考慮することも大切です。

 さらにディーゼル車の場合は寒冷地での使用状況を踏まえて、ドライバーごとに適正なタイミングでの給油をするのがよいでしょう。

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