トヨタ「“自動”ドリフトマシン」を開発? AI搭載 「スープラ」の目指す先とは
トヨタの米国法人は11月末日、トヨタの研究所「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(以下、TRI)が「自動運転技術にどのように取り組んでいるか」について公開しました。目をひくのは “自動的にドリフト走行する”「GRスープラ」の姿です。どのような目的で開発されたのでしょうか。
AIがドリフトができれば自動運転も安全に?
トヨタの米国法人は11月末日、トヨタの人工知能(以下、AI)などの開発をおこなう研究所「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(以下、TRI)が「自動運転技術にどのように取り組んでいるか」を公開。
そこには同研究所によって開発された、“自動的にドリフト走行する”「GRスープラ」の姿がありました。
このクルマの研究は将来の自動運転技術より安全なものとするための取り組みのようです。
公開された動画には、サーキットで障害物を避けながらドリフト走行を繰り返すGRスープラの映像が映し出されています。ドライバーは乗っていますが、操作はしておらず、クルマは自立走行をしています。
TRIとスタンフォード大学の共同研究チームによって開発されたというこの「自動的にドリフト走行する」 GRスープラには、AI技術が搭載されています。
TRIの研究員であるJonathan Goh氏によれば、このAIは、20分の1秒ごとに新しい軌道を計算し、クルマを優雅にバランスさせながらコースを周回するのだと言います。
このようなAIを開発する理由をTRIのヒューマンインタラクティブドライビング部門のディレクターAvinash Balachandran氏は次のように説明します。
「このプロジェクトを通じて、自動車自身が制御可能な領域を拡大しています。目標は、プロのレーシングカードライバーのような本能的な反射神経を一般のドライバーに与え、最も困難な緊急事態に対処できるようにすることです。」
ドリフトとは、車両がトラクション(駆動力)の限界を超え、不安定なった状況を、ステアリングやアクセル操作などで複合的にバランスよく制御する高度なドライビング技術を指します。
この技術をAIが習得し車両に組み込めば、ブラックアイスなどの困難な路面状況や障害物を避けるため急ハンドルを切ったために生じる、不意にトラクションが失われるような実環境で、クルマを自動的に立て直し、事故を回避できる可能性があります。
前述のAvinash Balachandran氏は次のようにも続けます。
「TRIの目標は、人間の代わりではなく、人間を補強・増幅するような先進技術を使うことです。私たちは、クルマとその性能の全領域をコントロールする方法を検討し、エキスパートドライバーのスキルを一般ドライバーの運転に取り入れる技術を構築しています」
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ドリフト走行が可能なAIが搭載された“ドリフトモード”付きのクルマが販売される可能性は少なそうですが、この機能を会得したAIが搭載された“安全な”クルマが流通することで、不幸な事故が減っていくかもしれません。
いつか自動的にドリフト走行するGRスープラで研究された技術が、搭載されたクルマに乗る機会がくることでしょう。
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