ETCを無料通行できる「カード」が存在!? パトカーの「高速道路通行」の仕組み
パトカーが高速道路などの有料道路を走行している様子はたびたび見かけますが、通行料金の支払いはどのような仕組みになっているのでしょうか。
パトカーの有料道路通行の仕組みとは
パトカーは、スピード違反の取り締まりや犯人の追跡など緊急の対応で有料道路を走行する機会も多いと予想されます。
ではパトカーなど、有料道路での通行料金の支払いはどのような仕組みになっているのでしょうか。
パトカーなど一定の業務をおこなっている警察車両は、高速道路や自動車専用道路の通行料金が無料と決まっています。
千葉県警察の「警察車両が有料道路を通行する場合の要領について」という資料によると、高速道路や自動車専用道路などで通行料金の支払いを免除される警察車両は2種類定められています。
ひとつ目に道路交通法第39条第1項に規定する「緊急自動車」が該当。パトカーなど警察用自動車のほか、消防用自動車、救急用自動車などのうち、緊急の用務のために運転中のものを指します。
またふたつ目は、国土交通省の「料金を徴収しない車両を定める告示」第1号および第3号に規定された車両です。
具体的には「警衛、警護若しくは警ら又は緊急輸送その他緊急の用務のため使用する車両で緊急自動車以外のもの」「災害救助のために使用する車両で緊急自動車以外のもの」と定められています。
つまり、緊急自動車でなくても皇族や大臣などの警護をする場合やパトロール中、被疑者を緊急で輸送する場合、さらに災害発生時の救出救助・水防活動をおこなう場合などは通行料金が無料になります。
ただし警察部内の会議への出席、管内の巡視、資機材の搬送といった緊急性がない警察業務については通行料金が免除される要件に当てはまらないため、警察車両がすべてタダで通過できるわけではありません。
では、通行料金が免除される警察車両はどのように料金所を通過するのでしょうか。
前出の資料では、「通行料金の徴収免除を受ける場合の通行方法」について大きく分けて3つの通行方法について記載されています。
ひとつ目は緊急自動車が通行するパターンで、サイレンを鳴らし赤色警光灯をつけたパトカーなどの警察車両は、料金所の係員に緊急であることを告げて料金所を通過することができます。
ふたつ目は「公務従事車両証明書」を提示して通行するパターンです。
緊急自動車ではないものの緊急の用務をおこなう警察車両が料金所を通過する際には、公務従事車両証明書と呼ばれる書類を利用するのが原則です。
高速道路を走行する前に警察でこの書類を発行してもらい、料金所を通過する際に係員に確認してもらうことで通行できます。
最近では無人の料金所も多くあるため、備え付けられているインターフォンなどで係員と連携して通行するケースもあります。
もし突発的に犯罪の被疑者を追跡することになった場合など公務従事車両証明書を事前に携行できない場合、料金所で係員に警察手帳を提示し、名刺に通行日時、出入口インターチェンジ名、通行車両のナンバーなどを記載のうえ、通行券とともに手渡して通過するというケースもあります。
そして3つ目は、「公務用カード」と呼ばれる専用のETCカードを使って通行するパターンです。
公務用カードを搭載している警察車両は、一般のETC搭載車両と同じように料金所を通過できます。
公務従事車両証明書を利用する場合と異なり、証明書を料金所の係員に確認してもらう手続きがないため、スムーズに料金所を通過できるのが特徴です。
この公務カードが導入される前は、緊急自動車以外の警察車両が緊急の用務で高速道路を走行する際には公務従事車両証明書を使って料金所を通過していましたが、その時々の状況に応じてより急ぎで通行しなければならないケースも多いため、手続きがスムーズな公務用カードが導入されたのです。
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基本的に、緊急自動車や特定の業務に従事しているパトカーなどの警察車両は、その業務の内容が考慮され、高速道路や自動車専用道路の通行料金が無料になっています。
もしサイレンを鳴らし、赤色警光灯をつけて走っている緊急自動車を見かけた場合には、落ち着いて道を譲るようにしましょう。
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