その一方で、旅のなかではごみづきさん自身の性格を変えてしまうほど、素敵なエピソードにも巡り会えたといいます。

「もっとも印象に残っていることは、青森県の十和田湖で起きたできごとです。

　日本一周に出発した直後の私はかなり内気で、ひとりでひっそりと観光を楽しむ程度で日本一周しようと思っていました。

　道中、クルマに絵を描きながら一周していましたが、その頃はあまり人目につかない場所で描いていました。

　その日も人が来なさそうな開けた駐車場を見つけて、気の向くまま車に絵を描いていましたが、そこは十和田湖の展望台だったので、昼が近くなると次々に大型バスが到来してくることに…。

　バスから降りてきた観光客は、次々に私のライブパフォーマンスを見にきて、色んな質問をされ、写真を撮られ、お菓子やコーヒーを恵んでくれる人もいました。

　人と接することに苦手意識があったのですが、そんなことお構い無しに立て続けに色んな人と会話し、その日だけでも100人以上と話したと思います。他人の私に興味を持って話しかけてくれて、なかには物をくれる人もいる。

　それだけですごく元気づけられて、なぜ今まで人と接する事に苦手意識を持っていたのかすらも忘れてしまうほどでした。

　今では誰かと話すことが好きになると同時に、あの時受けた衝撃と荒療治に心から感謝しています」

※ ※ ※

　実は、ごみづきさんはムーヴの外装にイラストを描きながら日本一周をしており、その様子を見た人々から、このように心温まる対応をしてもらえたそうです。

　日本一周は決してすべてスムーズなことばかりではなかったようですが、ごみづきさんにとって、大切な思い出のひとつとなったことは間違いなさそうです。

　なお、ムーヴは助手席を倒すと後席とフラットにつながる構造になっているため、基本的にDIYはしないかたちで車中泊をおこなうことができたといいます。

　また、ごみづきさんは自炊をせず、道の駅の食やご当地の食べ物を楽しんだ分、一般道路をメインに走行して高速道路代を節約するといった工夫をおこない3か月で約100万円（ガソリン代食費観光費込み）だったようです。