どんなに乗っても「バス料金タダ!?」 千葉・松戸市の地域交通が画期的! 無料乗車を可能とする仕組みとは

地域の足となるグリスロ 夜間は別の利用方法も!?

 グリスロに使われる車両は、車両の寸法や乗車定員などによって、軽自動車、小型自動車、普通自動車といった分類がされています。

 パワートレインは基本的にEV(電気自動車)で、車両の大きさや走行性能によってモーター出力や搭載する電池容量にも違いがあります。

青色回転灯や太陽光パネル設置でグリスロ以外でも活用できる
青色回転灯や太陽光パネル設置でグリスロ以外でも活用できる

 自動運転車もグリスロに含まれるという解釈もできますが、現時点で導入コストを下げるという意味では、ドライバーが手動で運転することがグリスロの基本になります。

 車両はヤマハ発動機製のゴルフカートを使う場合が多く、松戸市でも2019年と2021年におこなった実証実験では同車両を活用していました。

 ただし、乗車定員の数や外気に直接触れることで夏の暑さや冬の寒さを感じることなど、実証実験を通じて参加者から得た声を踏まえて、正式運行ではタジマモーターコーポレーション製の「NAO」を3台導入することになったのです。

 今回、松戸市河原塚地域でのオープニングセレモニーに登場したのは「NAO-6J」で、車両寸法は全長4050mm×全幅1500mm×全高2300mm、ホイールベースは2000mmで車両重量は1170kg。ただしNAOー6Jは本来6人乗りですが、今回登場した松戸モデルは6J改良版で乗車人数は、運転手を含め8名となっています。

 モーター出力は7.5kWの後輪駆動車で、搭載する電池は鉛蓄電池を使っています。

 満充電までの時間は7時間から10時間で、満充電での航続距離は80km。最高速度はグリーンスローモビリティの規定として時速19kmとしています。

 また、オプション装備として、ルーフ前方に青色回転灯を取り付けており、これによって乗車で移動していない夜間などは地域のパトロールカー(青パト)として活躍することになります。

 また、ルーフ後方には太陽光パネルを装備。災害時にスマートフォンなどの充電に役立つことを想定しています。

※ ※ ※

 河原塚地域でのオープニングセレモニーには、松戸市の伊藤智清副市長、河原塚グリーンスローモビリティ運営委員会委員長の石山峰雄氏、タジマモーターコーポレーション代表取締役兼社長の田嶋伸博氏、そしてこれまで全国のグリスロ普及に対するアドバイスをしてきた東京大学名誉教授で、一般社団法人 日本自動車研究所 代表理事・研究所長の鎌田実氏が祝辞を述べました。

 こうした皆さんは地域の活動に敬意を示した後、運行は安全第一であるという点を強調していました。

 地域課題を地域住民が自らの手で解決するということは、さまざまなリスクについても活動に参加する一人ひとりが十分に理解し、責任感を常に維持することが重要だと感じます。

 そのうえで、「地域の互助」としての皆の移動が成り立つのだと思います。

 松戸市の新たなる試みに、大いに期待したいところです。

【画像】青パトとしても使える! 無料で乗れる松戸市の「グリスロ」が画期的!(9枚)

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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