なぜスバル車は「青」がイメージされる? 始まりは「空」だった!? 青を纏う理由とは

本格的な青の始まりは、やはりWRCへの参戦から

 スバルがラリーに参戦している歴史を振り返るのに、非常に役立つ資料が、東京都三鷹市にあるSTIギャラリーの蔵書にあります。

 2008年に三栄書房(現・三栄)から発売された『ラリーカーイラストレーション stage01 SUBARU』というラリーカーをイラストレーションで紹介する本で、資料が残っている過去からWRCを撤退するまでのラリーカーをイラストでわかりやすく紹介しています。

青地にイエローの555が描かれたラリーカー(インプレッサ/レガシィ)
青地にイエローの555が描かれたラリーカー(インプレッサ/レガシィ)

 その本の最初に出てくるのが1973年の「サザンクロスラリー」(オーストラリア)に参戦した「レオーネGSR」です。ドライバーとコ・ドライバーは高岡祥郎/久世隆一郎となっており、のちにスバルテクニカインターナショナル(STI)の初代社長となる久世氏自らが参戦していました。

 この車両は青いボディカラーを纏っていますが、「おそらく量産車のカラーでたまたま青だったのかも」と関係者はいいます。

 また、その後レオーネで1987年までラリーに参戦を続けていたことがイラストに描かれています。

 そして1990年から、スバルは「レガシィRS」でWRCへ参戦します。車体色は、最初は白ベースにチェリーレッドやブルー、グリーンが差し色に使われたチームスバルのカラーが施されていました。

 その後イギリスのレーシングチームであるプロドライブとの提携に基づき、1993年にブルーの車体へイエローの「555」を大きく描いたレガシィRSが登場します。

 この555はブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が販売している、「ステートエクスプレス555」というタバコブランドで、そのパッケージには青地に金色の555が輝くロゴが描かれます。アジア圏で広く流通していますが、日本には輸入されていません。

 スバルは日本の自動車メーカーであり、アジアでのタバコ販売をするBATはこの555をメインに据えチームをスポンサードしました。ちなみにBATにはケント、ラッキーストライク、ロスマンズなど、モータースポーツに深く関わったブランドがあります。

 そのような背景でボディはタバコのパッケージと同じく青くなり、金色のロゴは再現しにくいため目立つイエローで描かれました。

 このときのスポンサーカラーである555のブルーは、スバルの量産車に使用されていたものではなく、プロドライブで車両が製作されていたこともあり、詳細なカラーはわかりません。

 とはいえ、もしかすると手がかりかもしれないものは残されていました。それは1993年にレガシィRSからチェンジとなった、次の「インプレッサ」に見られるものです。

 マシンチェンジをしたあとも、ブルーにイエローの555は継続され、チームスバルはWRCのチャンピオンになるなど輝かしい成績を残していきました。その1997年の「インプレッサWRC97」を見ると、リアウイングの側面にスポンサーがずらりと並び、そこに「STANDOX(スタンドックス)」という名前があります。

 STANDOXは1955年にドイツで誕生した自動車用塗料のブランドで、2022年現在はアクサルタ社(アメリカ)の展開するブランドのひとつです。関係者によると「ひょっとしたらSTANDOXがずっと調合していたカラーなのでは」とのことです。

 正式なカラー名は不明ですが、このブルーにイエローのカラーが印象に残り、「スバルといえばブルー」の基礎になったと思われます。

 この頃のインプレッサなどの量産車には、「スポーツブルー」や「ソニックブルー・マイカ」が施され、ラリーカーとの関連を連想させるイメージ付けがおこなわれていました。

 その後、2代目インプレッサの「GDB型」になると、WRCで戦ってきたこのブルーを「WRブルー」という名称にして、WRC参戦車両はもちろん、量産車にも用い、モータースポーツと量産車の一体感を産むようになっていきます。インプレッサやレガシィ、特別限定車など多くの車両にWRブルーが施されたこともありました。

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