「赤ランプ装着」だけじゃない! 「緊急車両」ってどんな車? ライフライン担う車も!? 知られざる定義は

街中では救急車やパトカーなど、さまざまな緊急車両(以下:緊急自動車)を見かけることがあります。実は緊急自動車には定義が定められており、知られていない意外なクルマが緊急自動車の場合も。では具体的にどういった定義があるのでしょうか。

あのクルマも!? 知られざる「緊急自動車」の定義

 クルマで街を走っているときに、赤いランプを点灯させ、サイレンを鳴らしながら走っているパトカーや救急車を見かけたことがある人もいるでしょう。
 
 こうした、緊急を要する業務に利用されるクルマを「緊急自動車」といいますが、実は緊急自動車と呼ばれるための要件があります。
 
 では、緊急自動車とはどういったクルマのことを指すのでしょうか。

「赤色ランプ装着」だけじゃない緊急車両の定義とは(画像はイメージ)
「赤色ランプ装着」だけじゃない緊急車両の定義とは(画像はイメージ)

 緊急自動車と聞くと「ピーポー」と音を鳴らす救急車や赤いランプが光るパトカーが思い浮かぶという人も多いでしょう

 実は緊急自動車にはさまざまな種類のクルマが存在します。

 緊急自動車の定義について、茨城県警の公式ホームページでは以下5つの定義が設けられています。

1.公共・公益的な機関の自動車で
2.公安委員会の指定を受け、又は届出をしているもので
3.それぞれの緊急用務を遂行する目的で
4.基準に適合するサイレンを鳴らし、かつ、赤色灯をつけて
5.運転中のもの

 上記にもある通り、届出がしてあるものが緊急自動車に該当するため、各都道府県では地域によって緊急自動車の一覧が公表されています。

 例えば埼玉県では、ポンプ車、はしご車そのほかの「消防用自動車」、傷病者緊急搬送のための「救急用自動車」、警察の責務を遂行するための「警察用自動車」などは多くの人が想像がつきやすい車両といえます。

 ほかにも、自衛隊の行動・部隊の運用のため使用する「自衛隊用自動車」、犯罪の捜査に使用する「検察庁用自動車」。

 逃走者の逮捕・連戻し・被収容者の警備のため使用する「矯正施設用自動車」や危険防止のための応急作業に使用する「電気事業用自動車」「ガス事業用自動車」「水道事業用自動車」「鉄道事業用自動車」などライフラインに関わる事業用自動車も緊急自動車に該当します。

 一方で上記の定義の例外として道路交通法施行令第14条の条文には以下のような記述があります。

「ただし、警察用自動車が法第二十二条の規定に違反する車両又は路面電車(以下「車両等」という。)を取り締まる場合において、特に必要があると認めるときは、サイレンを鳴らすことを要しない」

 上記条文の道路交通法第22条とはスピード違反の取り締まりを指しますが、パトカーや白バイなどが赤色ランプをつけたままサイレンを鳴らさずにスピード違反を取り締まるケースもあります。

 このようにさまざまな緊急用務を遂行する必要のある緊急自動車には、通行方法にいくつかの特例があります。これは道路交通法にて定められています。

 例えば「通行禁止道路の通行」「車両通行帯に従わない通行」「車両の右左折方法に従わない通行」、さらに走行速度について一般道は時速80km、高速道では時速100kmと最高速度の特例も設けられています。

 一方で例え緊急自動車であっても特例に該当しない義務も。

「歩道通行の禁止」「急ブレーキ禁止」「徐行場所での徐行」のほか、「警音器標識による警音器の吹鳴」なども該当します。

 これについて元警察官のBさんに聞いたところ、次のように話します。

「私が警察官として勤務していた時は、緊急自動車での交通事故が発生しないように、見通しの悪い交差点での一時停止や周囲の安全確認の徹底を指導されていました」

 緊急用務を遂行する目的で通行方法に特例が設けられている緊急自動車ですが、あくまで最優先すべきなのは「任務の安全な遂行」です。

 とくにサイレンは最接近した距離でないと聞こえにくいという傾向もあり、音が聞こえにくい聴覚障害者などの場合は緊急自動車の発見が遅れてしまうことも考えられます。

 このため、緊急自動車は任務遂行はもちろんのこと、特例が設けられていても十分な安全確認をした上での運転が求められているといえるでしょう。

※ ※ ※

 一方でクルマを運転中に緊急自動車が近づいてきた場合、一般ドライバーは緊急自動車を優先的に通行できるような措置を取らなければいけません。

 道路交通法第40条第1項には「交差点またその付近において緊急自動車が接近してきたときは、車両は交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止しなければならない」と定められています。

 もし一方通行の道路を走っており、左側に寄るとかえって緊急自動車の妨げになる場合は右側に寄って一時停止する必要があります。

 また第2項には、交差点やその付近以外であっても緊急自動車が接近してきたときは道路の左側に寄って進路を譲る旨の内容が記されています。

 これらの規定に違反すると「緊急車妨害等違反」に該当し、違反点数1点、普通車で6000円の反則金が科される可能性があります。

 緊急自動車が近づいてきた場合には慌てず冷静に、緊急自動車が通行しやすいよう道路端に寄ることを心がけましょう。

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