「日本の戦車もここまで来たかー」 戦後の日本戦車におけるスタンダードになった「74式」とは

日本にはこれまでさまざまな戦車が採用されてきました。そうしたなかで「日本の戦車もここまで来たかー」とはどのような特徴があるのでしょうか。

日本の戦車もここまで来たかーと言わしめた「74式戦車」とは

 日本の戦車には自衛隊員に「日本の戦車もここまで来たかー」といわせた74式戦車というものが存在します。
 
 どのような特徴があるのでしょうか。

1970年11月神宮外苑で行われた観閲式で姿を現した試作1号車。そのシルエットは強烈なインパクトを与えた。(画像:月刊PANZER編集部)
1970年11月神宮外苑で行われた観閲式で姿を現した試作1号車。そのシルエットは強烈なインパクトを与えた。(画像:月刊PANZER編集部)

「日本の戦車もここまで来たかー」。戦後国産2代目となる74式戦車が初めて登場したときに当時の自衛隊戦車乗員が抱いた第一印象だそうです。

 戦後初めて開発された61式戦車は戦前からの日本の戦車技術を継承しつつアメリカのなどの先進技術も取り入れた習作のような戦車でした。

 メーカーや自衛隊でも終戦後空白期間があった戦車の取り扱いの「勘」を取り戻す役割を果たしました。

 61式から約10年後に完成した74式はゴツゴツしたどこか野暮ったい61式と比べても、滑らかな傾斜を多用した流麗な姿をしており、外見からでも進歩ぶりを伺わせるものでした。

 74式の開発は61式戦車が採用されて間もない1964年に始まりましたが、終戦後の空白期間もあって日本の戦車開発は世界と比べても一歩遅れており、設計陣の目標はこの遅れを取り戻すことです。

 74式には当時主流の105mm砲を搭載し、油気圧サスペンションで車体を前後左右に傾ける姿勢制御機能、命中精度を上げる為射撃管制装置にレーザー測距儀、アナログ弾道計算コンピューターを導入するなど、中身も当時の最新技術を詰め込みました。

 61式で訓練してきた戦車乗員が「ここまで来たかー」と唸るだけのことはあったのです。

 74式の外見上の特徴は滑らかな流線形です。でも普通のクルマのように空気抵抗を抑えるなんて意味ではありません。

 そこにはカッコ良さというよりもっと切実な事情がありました。戦車の装甲とそれを破ろうとする対戦車砲弾の関係はまさに盾と矛のシーソーゲームなのです。

 しかし、当時は対戦車砲弾の威力が装甲の防御力よりも強く、被弾即撃破という状況でした。

 そのため、74式も含めこの世代の戦車はやたら装甲を厚くして鈍重になるくらいなら、軽く機動力が発揮できる必要最低限の厚さとする傾向にありました。

 74式の装甲厚は第2次大戦中期に登場したドイツ軍パンター戦車と同じレベルとされています。

 この流線形はそれでも薄い装甲で何とか敵弾を食い止めようと「避弾経始」の考えが駆使された苦心のデザインなのです。

「避弾経始」とは弾が傾斜した装甲に当たることで弾いたり、命中角度を浅くして装甲厚の効果が増すことを狙ったものです。

 戦車隊には「初弾必中」というスローガンがあります。被弾即撃破という厳しい戦場では、先に敵戦車を発見し先に命中弾を与えた方が勝ちます。

 74式は初弾必中を最優先した戦車でした。射撃管制装置にレーザー測距儀、アナログ弾道計算コンピューターという当時の最先端技術はただ初弾必中を実現するためでした。

 姿勢制御装置も車体姿勢を出来るだけ水平にして精度を上げる意味もあり、訓練でも敵に見つかるより早く敵を見つけ、初弾必中を徹底的に叩き込まれました。

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1件のコメント

  1. まあ、同時期の戦車は西側ヨーロッパやアメリカは既にフルオートマチック変速だったんだよね、東側はロシア製のマニュアルが多かったんだけどね。

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