日産の「e-POWER」が新型「エクストレイル」で進化! 他メーカーはなぜシリーズハイブリッドを搭載しない?
9年ぶりにフルモデルチェンジした日産「エクストレイル」は、1.5リッターVCターボの「e-POWER」を採用しました。e-POWERはシリーズハイブリッドという機構を採用していますが、日産とダイハツ以外に採用例はありません。それはなぜなのでしょうか。
1.5リッターVCターボ×e-POWERを新開発
日産が満を持して投入した新型「エクストレイル」で、新たに採用した1.5リッターVC(可変圧縮比)ターボを導入した第2世代「e-POWER」に、ユーザーはもとより他メーカー関係者からも注目が集まっています。
e-POWERはエンジンを発電機として使い、そこから得られた電力でモーターを駆動して走行する電動車で、技術的な分類としてはシリーズハイブリッドに属します。
日産は2016年、2代目「ノート」に1.2リッターエンジンを採用した初代e-POWERを採用し、日本でノート販売を大きく引き上げたことが記憶に新しいところです。
その後、ミニバン「セレナ」にも採用され、2020年には改良型の第2世代e-POWERとなりSUV「キックス」、そして3代目「ノート」「オーラ」と相次いで導入。
今回、1.5リッターVCターボ搭載の第2世代e-POWERが新型エクストレイルで初採用され、導入はグローバルで日本が最速となりました。
2022年9月上旬、新型エクストレイル4WD(e-4ORCE)を一般道路と高速道路で試乗し、またe-POWER開発担当者からじっくりと話を聞くことができました。
そこから、e-POWERの本質について深掘りしてみたいと思います。
まず、今回導入された1.5リッターVCターボについて、多くの人が想像するのは豪快な加速力かもしれません。なぜならば、第2世代e-POWER搭載のノート4WDとのスペック上の差があるからです。
具体的には、新型エクストレイル4WDのフロントモーターは最大出力150kW/最大トルク330Nm、リアモーターが100kW/195Nmとなっています。これに対してノート4WDは前後それぞれ、フロントで1.76倍/1.18倍、リアで2.0倍/1.95倍という大幅な性能アップをしています。
ところが、実際の走り味は、豪快という表現に直接つながるとは思えません。
それよりも、どんな走行シーンでも実に滑らかで、柔軟性があって、走りが楽しいという印象が優先するのです。新導入の車体を軸として、e-POWERとe-4ORCEとのバランス感がとても良いと感じました。
また、高速道路での追い越し加速などでエンジンがかかる場合、アクセルを踏む量とエンジン回転数の上がり方やエンジン音が、静粛性が十分に高いことを実感したうえで、見事に同調している点も強く印象に残っています。
こうした試乗体験を踏まえて、e-POWER開発者に1.5リッターVCターボを採用した目的について聞いてみたところ、「(重量が大きい)CセグメントSUVを、ストレスなくスムーズに加速させること、また静粛性を上げること」という答えでした。
さらに、「欧州でも販売するため、ドイツのアウトバーンなどでの超高速走行への対応や、キャンピンカーなどのトーイング(けん引)への対応が必要」ともいいます。
そうした使用環境を踏まえてモーターの性能を設定し、それに見合う電力量を生むための発電機を設計していくという開発プロセスになります。
これまでのe-POWERは排気量1.2リッターNA(自然吸気)と組み合わせていましたが、新型エクストレイルは排気量を1.5リッターでターボ化することで、低い回転数で十分な電力量を賄えるという計算です。さらに、高速走行での燃費を改善するために、日産がすでに量産化していたVC(可変圧縮比)技術を採用したのです。
この1.5リッターVCターボエンジンは、まず2020年からエクストレイルの北米での兄弟車である「ローグ」に、e-POWERではなくガソリンエンジン車として搭載し、そこで得られたデータを基に日本や欧州、そして中国向けのe-POWERに仕立てていきました。
同ユニットをe-POWERとして使用する際、エンジンが始動すると、最低回転数は1600rpmまたは2000rpmに設定され、最大で4800rpmまで回します。
開発者は「発電機としてのエンジンの静粛性を重要視しており、そのためにはエンジン回転数を下げることに注力した」と話します。
また、キックスやノート、オーラの1.2リッター第2世代e-POWERで導入している、路面が悪い状況などを優先してエンジンをかけて車内の静粛性を上げている点については、「モーター回転数の変化から読み取る方法はほかのe-POWERと基本的に同じ」とのことです。
ホンダは?
典型的な提灯記事。
トヨタやホンダが1990年代からハイブリッド車技術(や燃料電池車技術)で競い合っていたのに対し完全に周回遅れだった日産が、手持ちのBEV技術をもとに苦肉の策で出したのがe-POWER。
リーフ由来の高出力モーターとその出力特性などの新味が受けて売れたが、技術難易度面では既存ハイブリッドよりも低い物。
将来的なBEV普及に向けて、BEVに近いシリーズハイブリッドが時代にマッチしただけの話。
そこを読んだ日産の経営戦略は上手くやったと言える。
ホンダも数年前からeHEVの名でシリーズハイブリッドを採用している上、高回転時のエネルギー効率が悪いモーターの特性を回避している点では、日産のe-POWERより一歩先んじている。
この程度のこと、筆者も知っているだろうに。
実際はHV嫌いの当時の社長の目を誤魔化すために、リーフのコンポーネントを流用したみたいですが、それがヒットして技術として進化しているのなら結果オーライかと。
HVの技術がないと言ってる人もいますが、先代エクストレイルのHVは新型クラウンのHVと同じシステムな訳でして。