帰省などで「他人のクルマ」運転するときは「保険」に要注意! 事故で多額の賠償の例も! 安心して運転する方法とは

自分のクルマの保険が使える? 他車運転特約はどこまで補償されるのか

 すでに自分のクルマを所有していて、自動車保険に加入済みの人は、加入中の保険に「他車運転特約」が付帯していれば、状況によっては他人のクルマに対し自身の保険を使用することも可能です。

 他車運転特約とは、一時的に借りたクルマを運転中に起きた事故についても、保険契約の対象となっているクルマ(自己保有車)と同じ内容の補償を受けることができるというものです。

自働車保険に付帯可能な「他車運転特約」はどこまで保証されるのでしょうか(画像はイメージ)
自働車保険に付帯可能な「他車運転特約」はどこまで保証されるのでしょうか(画像はイメージ)

 これがあれば、借りたクルマにかけられている保険に対し優先して、自分が契約している自動車保険から保険金が下りるので、借りたクルマの持ち主にかける負担を減らすことができます。

 ただし、この特約もいろいろな制約があり、すべてのクルマの事故にも適用されるというわけではありません。

 特約の内容は保険会社によってまちまちですが、ソニー損保では次のように記載されています。

 まず、「他車」の対象範囲は、「友人・知人など、他人から臨時に借りたおクルマが対象」となっています。そのため、配偶者や同居の親族のクルマについては、特約の補償対象外です。

 また、「臨時に借りたおクルマ」が対象となっている点に注意が必要です。

 例えば「友人のクルマを長期間借りて、日常的に使用していた場合」や「修理工場や車屋から長期間代車を借りて、日常的に使用していた場合」、「他人から無断で借りたクルマを運転中に事故を起こした場合」など、補償の対象外となってしまう可能性があります。

 どのくらいの期間が常時使用とみなされるのかについては、保険会社によって判断が異なります。おおむね1か月以上クルマを借りて日常的に運転する予定の方は、事前に契約している保険会社に確認しておくのがよいでしょう。

 さらに、車両の損害についての補償も注意が必要です。

 現在、契約している自動車保険に「車両保険」が付帯されている場合のみ、借りたクルマの時価額が補償されます。

 車両保険は、普及率が全国平均で46.2%となっており、対人・対物賠償(事故の相手となる人やモノに対する補償)の普及率(約75%)と比べ低いのが現実です(※損害保険料率算出機構 発行「2021年度自動車保険の概況」任意自動車保険 都道府県別普及率表 2021年3月末より)。

 中古車を安価で購入した場合など、保険料を安く抑えるために車両保険を外して保険に加入する人もいると思います。

 自分のクルマにかけられた保険の車両保険を外した状態で、他車運転特約を契約している状況のなかで、友人が新車で購入した高級車を貸してもらいドライブ中に事故を起こした場合、対人・対物賠償で補償されるのは、あくまでも事故の相手方や壊してしまったモノに限られます。

 友人の車両の補償は含まれていないことになるので、運転していた友人のクルマに多額の修理費用が発生した場合、その費用は全額自己負担とされてもおかしくはありません。

※ ※ ※

 自動車保険は、クルマを持っていない人にはあまりなじみがありませんし、クルマを持っていて保険に加入していても、その内容は複雑で分かりにくいという人がほとんどだと思います。

 しかし、クルマを運転するという行為には、大きなリスクが伴うことを常に考える必要があります。そのリスクに備えるために、自動車保険の内容は必ず確認しておかねばなりません。

 確認のポイントは、自動車保険が「人」ではなく「クルマ」にひもづくものである、ということです。

 いま乗りこもうとしているクルマには、自分が運転している時に補償される保険がかけられているのか。もしかけられていなかったら、どのように保険に加入すればよいのか。

 いざというとき、自分や相手の財産を守るために、借りるクルマに付帯する保険や自分が加入している保険の補償内容をよく確認しておきましょう。

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