なぜトヨタ「GR86」の新車価格が700万円? 「アルファード」は最速納車2500万円? 複雑な事情抱える中国市場とは

中国で正式にトヨタ「GR86」が発売されました。日本での価格を大きく上回る700万円という設定ですが、なぜこれほどまでの価格差があるのでしょうか。

なぜ「GR86」の新車価格が700万円なのか?

 2021年10月に日本市場で発売されたトヨタ「GR86」。

 そのGR86が中国でも正式に発表されましたが、なんと価格は日本の約2倍となるといいます。
 
 中国での関税(15%)を考慮しても高額な価格ですが、その背景にどのような理由があるのでしょうか。

クルマ好きが高い関心を寄せるトヨタ「GR86」 中国でも正式に発売されたが…日本仕様の価格を2倍を上回る約700万円となっています。その理由とはなんなのでしょうか?
クルマ好きが高い関心を寄せるトヨタ「GR86」 中国でも正式に発売されたが…日本仕様の価格を2倍を上回る約700万円となっています。その理由とはなんなのでしょうか?

 FA24型2.4リッター直列4気筒ボクサーエンジンを搭載するGR86は、1983年に登場した「スプリンタートレノ(AE86型)」のスピリットを受け継ぐ初代86の後継モデルとして2021年10月に発売。

 日本での販売価格は279万9000円からと、比較的手頃な価格で若者を中心に人気を博しています。

 日本のみならず、北米や欧州などの国外市場でも販売されていますが、2022年8月、ようやくGR86が中国に上陸し、中国仕様車が正式に発表となりました。

 基本的なスペックは日本仕様車と同一で迫力のある2ドアクーペボディに、出力230hpのエンジン、そしてトランスミッションは好みに合わせて6速MTと6速ATの2種類から選ぶことができます。

 しかし、価格はそうはいきません。正式発表とともに公表されたGR86の価格は33万8600元。日本円に換算すると約697万6700円と、日本での価格の2倍以上という高価格帯なモデルとして発売されたのです。

 なお、この価格は6速MTモデルなので、快適性を重視した6速ATではさらに2万元高い35万8600元(約738万8800円)となります。

 装備は18インチアルミホイールに、レッドのアクセントを加えたフロントシート、そしてブラック×レッドの内装色と、基本的には日本仕様の「RZ」に相当。

 日本ではRZグレードが334万9000円(6速MT)からなので、先述の中国での価格と比較すれば、その異様な高さがわかります。なぜここまで高くなってしまったのか。そこには中国特有の事情が絡んでいるのです。

 大前提として中国では輸入車に対して非常に高い15%の関税を設けています。

 ちなみに、日本は無税、アメリカは乗用車に対して2.5%など、各国の事情はさまざまです。

 中国国外の自動車メーカーはこの高い関税を回避するために、中国国内で現地生産をおこなおうと考えます。

 その際に必要となっていたのが、中国現地の自動車メーカーとの合弁会社設立です。

 これは2022年に全車種を対象として撤廃されたルールですが、それまでは外資の製造業にとって合弁会社の設立は必須となっており、現在でもその合弁関係を維持したままなのが当たり前となっています。

 例えば、トヨタは第一汽車との「一汽トヨタ」、広州汽車との「広汽トヨタ」、ホンダは東風汽車との「東風ホンダ」、広州汽車との「広汽ホンダ」など、それぞれ設立した合弁会社を通して中国国内の製造・販売をおこなっています。

 日本メーカー以外では、ゼネラルモータースと上海汽車の「上汽GM」、メルセデスベンツと北京汽車の「北京ベンツ」、シトロエンと東風汽車の「東風シトロエン」などさまざまな合弁会社が存在しています。

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