レクサスの新型「スポーティセダン」は何が凄い? 青ボディで存在感ある「IS500 Fスポーツパフォーマンス」を最速試乗!
IS500 Fスポーツパフォーマンスの気になる所は? なぜいま「V8」なのか
ちなみにノーマルのISで唯一気になっていたセンター付近がやや曖昧で直結感の薄いステアフィールはフロント軸重が重くなった影響なのか、手ごたえとシッカリ感が増しているように感じました。
逆にIS500 Fスポーツパフォーマンスで気になったのはブレーキです。
制動力向上のために大径ブレーキローター(フロント:356mm、リア:323mm)を採用していますが、絶対的な制動力や耐フェード性は問題ないものの、コントロール幅が狭い硬めのタッチはワインディングだけでなく高速道路でも信頼性に乏しく感じます。
大容量ブレーキまでとはいいませんが、個人的にはブレーキパッドの材質は変えたいところです。
恐らくワインディングで走った感覚から、恐らくサーキットでの扱いやすさやコントロール性なども高いレベルにあると予想していますが、あえて非日常(=サーキット)よりも日常(=ストリート)での気持ちよさ/心地よさを重視したセットアップにしている部分こそが、Fスポーツパフォーマンスの立ち位置なのでしょう。
要するに、5リッターV型8気筒エンジンを速さではなくドライビングプレジャーために活用と、ある意味贅沢な一台です。
ちなみにエクステリアはV型8気筒エンジンを搭載するために盛り上がったデザイン採用のフロントエンジンフードやリアの4本出しエキゾーストシステム&ディフューザー形状のリアアンダー、専用デザインのスプリット10本スポークの19インチ軽量アルミホイール(エンケイ製)、そしてメッキからダーククロムに変更されたウィンドウトリムなどをプラス。
ちなみに「Fスポーツ」のエンブレムはFスポーツパフォーマンス専用のブラック仕様となっています。
インテリアはステアリングやドアスカッフプレートのFスポーツパフォーマンス専用バッジや専用メータースタートアップ映像などが採用されていますが、基本的にはFスポーツと基本的には同じです。
個人的にはもう少し差別化してほしいと思う部分もありますが、Fよりも手の届きやすい価格設定(850万円から900万円)考えれば、納得できる部分も。
ちなみにレクサスは2035年までに「BEV・FCEV100%」を目標に掲げていますが、なぜこのタイミングで5リッターV型8気筒エンジンを追加したのでしょうか。
もちろんメインマーケットの北米からのリクエストが大きいですが、筆者(山本シンヤ)はレクサスの「挑戦」だと分析しています。
その挑戦とは、「5リッターV型8気筒エンジンのようなパフォーマンスと気持ちよさ/心地よさを両立させた電動化ユニットの開発」と「Fに近い性能を備えたFスポーツパフォーマンスの登場で、次世代Fはそれ以上の実力が求められる」のふたつです。
これらを踏まえると、今後のレクサスのスポーツモデル変革に期待大です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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