原油価格が需要破壊で暴落する可能性も!? それでも「ガソリン価格」は下がらない理由とは
原油価格が下がってもガソリン価格は下がらない?
先行き不透明ではあるものの、原油価格が下落傾向にあることで、ガソリン価格も落ち着きを見せていくことが期待されています。
ただ、実際にユーザーが「ガソリン価格が下がった」という実感を得られるまでには、非常に多くのハードルがあるのも事実です。
そのひとつが円安です。原油は輸入製品であるため為替の影響を大きく受けますが、ここ最近の急激な円安は原油の購入コストを大きく引き上げています。
WTI原油価格は2か月でおよそ20%下落していますが、ドル円相場はその間におよそ10%円安となっているため、原油の購入コスト自体はそれほど下落していません。
原油価格やドル円相場は短期的に変動する可能性もあるため、近い将来に落ち着く可能性はあります。

一方、ガソリンスタンドを運営する石油元売り業者の減少は、ガソリン価格を中長期的に高止まりさせる要素のひとつです。
日本では少子高齢化における人口減少やクルマの低燃費化によって、ガソリンそのものの需要が減少傾向にあります。
そうしたなかで、石油元売り業者は統廃合を繰り返すことで生き残りを図ってきましたが、それでもガソリンスタンド数の減少は止まりません。
価格低下が競争によって引き起こされることは経済学の常識ですが、現在ではかつてほどガソリンスタンド同士の競争が起こることはありません。
これ以外にも、ガソリン価格を左右する要素は非常に多くあります。
原油価格は下落傾向にありますが、実際にガソリン価格が下がったと実感できるようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。
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原油のほとんどを輸入に頼っている日本では、中東諸国を中心とする産油国の情勢を大きく受けます。
関係機関の多大なる努力によって、これまでは安定した供給が実現していたガソリンですが、それが当たり前ではないことをあらためて理解する必要があるのかもしれません。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。






















