「レギュラーガソリン」の「レギュラー」って何を指す? なぜ「ノーマル」や「スタンダード」じゃない? 名前の由来とは

クルマの油種にはさまざまな呼び方があります。日本で販売されているガソリンには「レギュラー」「ハイオク(プレミアム)」「軽油」という3種類が存在しますが、なぜ「レギュラー」は「ノーマル」や「スタンダード」ではなく「レギュラー」と呼ぶのでしょうか。

「レギュラーガソリン」が「レギュラー」でなければならなかった理由

 日本で販売されているガソリンには「レギュラー」「ハイオク(プレミアム)」「軽油」という3つから油種が存在します。
 
 そのなかで、なぜ「レギュラー」は「ノーマル」や「スタンダード」などの呼び方ではなく「レギュラー」と呼ぶのでしょうか。

なぜ「ノーマル」「スタンダード」ではなく「レギュラー」と呼ぶのか?
なぜ「ノーマル」「スタンダード」ではなく「レギュラー」と呼ぶのか?

 基本的には、ほとんどの国産車は「レギュラー」、輸入車やスポーツカーなどは「ハイオク」、そしてディーゼルエンジン車は「軽油」を選ぶことになります。

 指定された油種以外を給油してしまうと、走行性能が著しく低下したり、最悪の場合には走行停止に至ったりする場合があるため、絶対に間違えることはできません。

 とはいえ、これらの油種はまったく異なるものではなく、いずれも原油を元としたものであるという点では「兄弟関係」といえる存在です。

 簡単にいえば、「レギュラー」および「ハイオク」と「軽油」の違いは、原油から蒸留抽出される温度にあります。

「レギュラー」と「ハイオク」は約30度から約180度までの比較的低温で蒸留されるのに対し、「軽油」は約240度から約350度という高温で蒸留され、灯油やジェット燃料は、約170度から約250度で蒸留して精製されます。

 さらに「レギュラー」と「ハイオク」の違いは、おもにガソリンの燃えやすさを示す「オクタン価」にあります。

 蒸留抽出されたガソリンが、実際にガソリンスタンドで販売される商品となるためには、さまざまな添加剤を加えたりすることで、「オクタン価」を高めていくことになります。

 日本工業規格(JIS)では、「レギュラー」は89以上、「ハイオク」は96以上の「オクタン価」を満たす必要があると規定されています。

 また名前の由来は諸説ありますが、「ハイオク」の場合にはオクタン価が高いことから「ハイオクタン(high octane)」の略称として使われ、「軽油」はアスファルトの素材などに用いられる重粘質の「重油」に対する表現が元になっています。

 それぞれの油種は似て非なるものであるといえますが、なぜ「レギュラー」は「ノーマル」などと呼ばないのでしょうか。

 ガソリンの「レギュラー」は英語に由来した言葉です。要は日本語の「普通」を意味しているわけですが、英語には「普通」を意味する言葉がほかにも存在します。

 例えば、「ノーマル(nomal)」や「スタンダード(standard)」、「ジェネラル(general)」、「ユージュアル(usual)」、「コモン(common)」などで、いずれも日本人なら比較的理解しやすい英語であり、違和感を覚える人はそれほど多くはなさそうです。

 しかし、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。

「ノーマル」は、英語においても「普通」を表すもっとも一般的な言葉ですが、そのほかの類義語に比べて「正常である」というニュアンスが強くなり、「ノーマル」の対義語が「アブノーマル(異常)」であることを考えると、理解しやすいかもしれません。

 つまり、「レギュラーガソリン」を「ノーマルガソリン」としてしまうと、「ハイオク」は「異常なガソリン」という意味合いを含んでしまうことから、「ノーマル」が適さない理由といえます。

 一方、「スタンダード」は「標準」というニュアンスの強い言葉です。日本語では「規格」という意味も持ちますが、こちらも「レギュラーガソリン」を「スタンダードガソリン」としてしまうと、「ハイオク」が「規格外のガソリン」という否定的な意味を持ってしまう可能性があります。

「ジェネラル」も同様です。「一般的」という訳されることの多いこの言葉ですが、「特殊ではない」というニュアンスを含み、「ハイオク」が「特殊なガソリン」ということを強調することになるため、ガソリンに対しては用いられなかったものと考えられます。

 そのほか、「ユージュアル」や「コモン」は「ありふれた」や「平凡な」という意味合いを持つため、それぞれの油種に対してオクタン価以上の優劣をつけてしまうことになります。

 一方の「レギュラー(regular)」は、「秩序だったものの中で最も選択される可能性が高いもの」という意味合いが強いようです。

 例えば、カフェなどで注文されるコーヒーのレギュラーサイズは、スモールサイズやラージサイズがあったうえで、もっとも標準的なサイズ感とされているもので、基本的に容量以外には優劣があるわけではないという点もポイントです。

 ガソリンにおける「レギュラー」も、「ハイオク」や「軽油」といった複数の油種のなかで、もっとも選ばれやすいものであるという点で「レギュラー」という表現が適しているといえます。

 また「レギュラー」と「ハイオク」は、あくまで車種ごとに指定されているものであり、ユーザーが優劣で選ぶものではありません。そのため、必要以上に優劣を強調してしまう恐れがある言葉よりも、単に種類の違いや選ばれやすさの違いを表す「レギュラー」という表現が適していたようです。

※ ※ ※

 ちなみに、アメリカのガソリンスタンドでは「レギュラー」という表現を用いることがあるようですが、ヨーロッパではあまり見られません。

 ただし、どちらのガソリンスタンドでも、オクタン価を大きく表示することが一般的であり、油種の名称はマーケティング面を重視して日本における「ハイオク」を「スーパー」や「プレミアム」といったカッコいい表現が用いられることが多いようです。

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4件のコメント

  1. 他の呼び方にケチつけてるようですが、ならハイオクは「イレギュラー(不規則)ガソリン」になりますが?
    それ以前にノーマルやスタンダードでも違和感ないけど?

  2. ガソリンに関してはオクタン価表記でも良かったのではないでしょうか?

  3. 「軽油を軽自動車の燃料と思い込む間違い」との記載が有りますが、
    そもそも冒頭で、「ガソリンの種類」に含めていることが致命的です。
    「三種類の燃料」として「ガソリンのレギュラーとハイオク」「軽油」などのように書き分けるべきでは?

  4. 日本人には英語が堪能な人が少ない。
    「スタンダード」「ゼネラル」は既に会社名称として存在して居たので避けた。
    「軽油」は「軽質油」の略称で「重質油(重油)」と区別して居る。
    石油の歴史や実情をもっとよく理解してから記述すべきと思う。
    (思い付きで記事に出来るほど浅く有りませんよ?)

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