なぜ関西では駐車場を「モータープール」と言うの? 東京では廃れた表現が今も残る背景とは
月極駐車場や時間貸し駐車場を表す言葉について、大阪を中心とした関西地方では「モータープール」とよぶことがあります。なぜ関西地方だけは「モータープール」という言葉が使われているのでしょうか。
大阪以外ではほとんど見られない「モータープール」、その理由は?
大阪を中心とした関西地方で多く見られる「モータープール」。
月極駐車場や時間貸し駐車場を表す言葉ですが、なぜほとんど大阪だけで「モータープール」という言葉が使われているのでしょうか。
同じ日本でありながら、東京と大阪では文化が大きく異なります。その最たるものが言葉ですが、クルマに関する言葉にも両者で大きな違いが見られ、「モータープール」は、そんな言葉のひとつです。
クルマを表す「モーター」と、「あるものがたまっている状態」を表す「プール」を組み合わせた「モータープール」は、大阪を中心とした関西では「駐車場」を意味する言葉として一般的です。
実際、大阪の中心部である梅田駅周辺には、2022年8月現在で20を超える「モータープール」が存在しています。
一方、東京駅周辺には「モータープール」という名称が付けられた駐車場は皆無です。もちろん、駐車場自体は東京駅周辺にも多く存在しています。
「モータープール」という名称の駐車場はそのほとんどが大阪府内にあり、それ以外では奈良県や和歌山県の都市部などで見られます。
一方、同じ関西でも京都や兵庫ではそれほど多くはなく、「モータープール」は、かなり局所的なものであることがわかります。
また、「モータープール」と呼ばれる駐車場には、なんらかの特殊な設備やシステムがあるというわけでもないようです。
ただし、より詳しく見ていくと「プール」という言葉のとおり、複数台駐車できることは必須条件といえそうです。そのため、戸建住宅の駐車場を「モータープール」と呼ぶことはありません。
また、店舗や施設に併設された一時利用のための駐車場も「モータープール」と呼ぶことはないようです。
このように考えると「モータープール」は、「複数台のクルマを、一定期間にわたって駐車する場所」ととらえることができます。
ちなみに、現在では時間貸し駐車場(コインパーキング)も「モータープール」と呼ばれていますが、コインパーキングが誕生したのは1990年代と比較的最近のことであり、それ以降月極駐車場から業態を変更する例も多く見られました。
もともと「モータープール」の名で運営されていた駐車場が、コインパーキング化してからも便宜上同じ名称を利用する例が多かったことが、現在ではコインパーキングも「モータープール」と呼ぶようになった背景と考えられます。
逆にいえば、「モータープール」の本来の意味に「時間貸し」というニュアンスはないと考えて良さそうです。
「モータープール」については「大阪(関西)における『駐車場』の呼び方」と説明されることがしばしばありますが、「駐車場」はより広い意味の言葉であるため、それは必ずしも正しくありません。
東京(共通語)では、「モータープール」と完全に合致する言葉はなさそうです。強いていえば、「パーキング」などがそれにあたるかもしれませんが、俗語的表現であり「モータープール」ほど一般的とはいえないようです。
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