スズキ「ジムニー」はやはり最強だった? 時代はSUV全盛期も… クロカン四駆って何者? SUVと似て非なる違いとは

現代のSUV文化はどのクルマが発端?

 その後、道路インフラの発展や技術の進化によって、クロスカントリー4WDは2つの流れに分かれていきます。

 ひとつはジープの流れを汲んだ“ワークホース”的なクルマ、もう一方は都市生活者を意識した汎用的な4WD車です。

 後者の流れを作ったのは、ランドローバー「初代レンジローバー」といっても過言ではありません。

 スタイリッシュなワゴン形状のボディに、面倒な操作を少なくしたサブトランスファー付きフルタイム式4WDや、どんな道でも快適な乗り心地を実現するコイルスプリングサスペンション。

 初代レンジローバーはその後、ランドクルーザーやゲレンデヴァーゲンなどのライバル車にも影響を与えました。

1970年に登場したランドローバーのフラッグシップモデル。1995年には2代目が発売され、3代目ではモノコックシャシを採用し一新された
1970年に登場したランドローバーのフラッグシップモデル。1995年には2代目が発売され、3代目ではモノコックシャシを採用し一新された

 現在のクロスカントリー4WDは、その構造はさまざまです。

 現行型ディフェンダーやレンジローバーのようにモノコックボディ、インディペンデンスサスペンションを持つクルマも存在。

 その一方で、ランドクルーザー300系のようにイイトコ取りをしているクルマ、ジムニーやラングラーのように由緒正しい構造を継承しているクルマなどいろいろです。

 現代のモデルに、SUVとクロスカントリー4WDとの差違を見つけるとしたら、唯一違うのは副変速機の有無。

 前述の通り、副変速機はけん引時に必要なだけでなく、悪路走行時に強力な駆動力を生み出します。さらに、ミッションを守るためにも必要なメカニズムです。

 激しい凹凸で傾斜のあるオフロードを走ると、通常の変速比のミッションでは高負荷がかかり、ダメージを与えることがあります。

 クラッチが焼けてしまった場合には、走行不可能になることも。副変速機でローギアードにすることで、より低い回転数でも大きな駆動力を得ることができるようになり、同時に駆動系のダメージを抑えることができるのです。

 日本では4WDをLowレンジすることはほとんどありませんが、これが愛車に付いているだけでオーナーの冒険心がくすぐられるのが、クロスカントリー4WDの魅力かもしれません。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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