クルマの「自動ブレーキ」は渋滞原因にならない? ACC普及で意図しない「テールランプ光る回数」増えた? 渋滞起こる仕組みとは
果たして、ACCが自然渋滞の原因となるのか?
非常に便利なACCですが、自然渋滞の要因と指摘されている背景には、その車間距離の設定が挙げられます。
道路交通法では、車間距離について「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」と定められています。
具体的な距離については個々の状況によって判断されるようですが、教習所などでは「車速をメートルに直した距離」をひとつの目安として指導しているようです。
この目安に沿うと、100km/hで走行時には100mの車間距離が適切ということになります。
乗用車であればおよそ20台分ほどの間隔を空けることになりますが、実際の高速道路では、100mの車間距離を確保しようとするとかなりの頻度でブレーキを踏むことになります。
ただ、ユーザー自身が運転している場合、100mの車間距離を保った状態で前方にクルマが割り込んできても、ブレーキを踏んで車間を維持するということはあまりありません。
しかし、ACCの場合、設定された車間距離を保つために、自動的にブレーキを作動させてしまうことが、自然渋滞発生の一因になると指摘されています。
では、実際にACCは自然渋滞発生の原因となっているのでしょうか。
そのヒントとなるのは、フォードが2018年におこなった実証実験です。
フォードは高速道路を模したテストコースを用いて、ACCを使用した36台のクルマを合流などを含めた実際の道路状況に近い状態で走行させ、ACCを使用しなかった場合との比較を実施。
実験のなかで、先頭車両が60mph(約96km/h)から40mph(約64km/h)へと減速すると、ACCを使用していないケースの後続車のほうが強くブレーキを踏んでしまい、流れが悪くなってしまいました。
一方、ACCを使用したケースでは、スムーズに状態が維持されたうえ、ACCを使用しているクルマを3分の1に限定した場合でも、ほぼ同様の効果が見られたといいます。
この実証実験の結果を見る限り、ACCは自然渋滞発生の要因となるばかりか、むしろスムーズな走行を助けているということができます。
その背景には、実際のACCでは、教習所などで指導される「目安」よりは実態に即した車間距離が設定されていることがあります。
例えば、ホンダ「フリード」の場合は4段階で車間距離の設定が可能となり、100km/hでの走行時には、「短」では約30m、「中」では約40m、「長」では約59m、そして「最長」では約78mの車間距離になるように設定されています。
実際の道路状況にもよりますが、設定次第では無理な割り込みを防ぐことはできそうです。
これらを総合すると、ACCが自然渋滞発生の要因となっていると断ずるのは尚早のようです。
ただし、ACCの設定によっては実態に沿わない車間距離となり、意図しない場面でブレーキを作動させてしまう可能性もあります。
ACCは便利な機能ですが、使用する場面や設定を決めるのはあくまでドライバー自身です。ACCを利用している場合でも、周囲の状況に十分気を配ることが重要です。
※ ※ ※
また、現状ではACCの利用について、道路交通法で明確に規定されたり、あるいは教習所で指導されたりということはありません。
しかし、今後ACCを搭載したクルマが増えれば増えるほど、ACCの利用方法についての規定や啓蒙が求められるようになるでしょう。
前方渋滞2キロ10分という電光表示が出ていたとします。
平均速度が時速12キロの渋滞が2キロという事になるのでしょうが、他の人よりも前に行きたいと言うのが人の心理で、過剰な速度で突っ込んで行けば渋滞が伸びていくのは当たり前。
優秀なコンピューターが速度超過はさせないとか(可能であればコンピューターの判断で速度を抑える)車間距離をあけさせるとか渋滞の緩衝させる働きをすればいいのです。
機会にジブンさえ良ければという邪な気持ちはないのですから。