クルマ選び、今後は「性格」が決め手に? 「自動運転」の鍵、開発本格化
クルマ選び、これからは「性格」がポイントに?
筆者(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)は、自動運転が実用化されたとき、自動車メーカーは「人工知能(AI)」で勝負することになると考えています。
なぜなら自動運転に必要な「動かす」「見る」「地図」といった技術は、各自動車メーカーが独占するものではないからです。「動かす」「見る」という技術に必要なモーターやアクチュエーター、センサーなどは、実際にはサプライヤーが作っています。つまり、どのメーカーも同じアイテムを買うことができるのです。地図にしても地図専門メーカーの仕事。そうなると自動車メーカーに残るのは「考える」技術のみとなります。
そこで起きる「考える」技術の勝負とは、人工知能による運転の“乗り味”です。つまり、「A社の自動運転は、ぎくしゃくして下手くそだ」「B社は移動時間が短いけど、ちょっとハラハラするなあ」「C社は安全運転だね」などと判断されるということ。これまでの顧客が運動性能でクルマを選んでいたように、将来は人工知能の運転のうまさでクルマを選ぶ時代がやってくるのではないでしょうか。移動時間の短さを優先させたい人、ゆっくりでもスムーズな運転がいい人などが、それぞれの好みにあった自動運転のできるクルマを選ぶというわけです。
ちなみに、グーグルがFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)と自動運転の開発で提携をしたことが先月(2016年5月)、話題になりました。ただ、グーグルは「考える」技術は得意ですが、自動車の生産や販売のノウハウはありません。また、「動かす」「見る」技術を提供するサプライヤーとの関係も薄いのが現状。そのため「プロトタイプは造れても、量産車を世に送り出すのは相当に難しい」と筆者は思っていました。
しかし、FCAと力を合わせるとなれば状況は一変、俄然、「グーグルカー」の現実味が出てきます。より自動運転車の実用化に向けたレースが激しくなるということですね。どんな自動運転車が現れるのか、楽しみで仕方がありません。
【了】
提供:乗りものニュース
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。


