斬新デザインの新型「クラウン」なぜ誕生? トヨタが本気で考えた「これからのクラウン」 型破りなクラウンが出来た理由
新型クラウン クロスオーバーはどんな経緯で誕生したのか?
新型クラウン クロスオーバーは「ゼロから考えたクラウン」「これまでの概念にとらわれない」といったテーマをふまえて誕生しましたが、実際にはどのような経緯があったのでしょうか。
新型クラウンの開発を担当したミッドサイズ・ビークルカンパニー プレジデントの中嶋氏は次のように話しています。
「発表から2年と数ヵ月前のことですが、まず私が手掛けたのは、現在走っているクラウンのマイナーチェンジでした。社長の豊田にその企画を見せたとき、こういわれました。
『本当にこれでクラウンが進化出来るのか?マイナーチェンジは飛ばしてもよいので、もっと本気で考えてみないか』。
今思えば、ここから16代目のクラウンの開発がスタートしたと思います。
はじめに、歴代主査の想いに触れ、そもそも『クラウンとは何か?』を徹底的に見つめ直すところから始めました。
そこには、クルマの形や、駆動方式という決まりは何もありませんでした。あったのは、歴代主査の『革新と挑戦』というスピリットでした。私たち自身が『内向き』に決まりをつくり、自らを動けなくしてしまっていたのです。
同時に、社長就任以降、豊田がいい続けてきた言葉を思い起こしました。
『もっといいクルマをつくろうよ』と『世界一ではなく町いちばんを目指そう』。この2つです。
クラウンがロングセラーであり続けられたのは、歴代主査が常に『町いちばん』で考え、日本のお客さまの笑顔を思い浮かべながら『もっといいクラウン』を目指して、挑戦してきたからだと思いました。
そこから考えを大きく変えました。固定観念にとらわられず、これからのお客さまを笑顔にするクラウンを目指そう、と開発を始めたのが、このクロスオーバーです」
従来であればマイナーチェンジをして商品力を維持するものですが、先代となる15代目クラウンではあえてそれをせずに、「マイナーチェンジをしない」という選択がおこなわれたといいます。
そして誕生した16代目となる新型クラウンは、歴代モデルの「革新と挑戦」のDNAを受け継ぎつつ、ユーザーの多様な価値観やライフスタイルに寄り添うカタチで進化。
そして、「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」という4つのバリエーションを持った「新時代のフラッグシップ」かつ「みんなのフラッグシップ」として刷新されたのです。
本当に必要だった最大の見直しはFRでもセダンでも幅1.8mでもなく
「『クラウン』という名前を捨てること」
クラウンという名前を名乗る限り先代まで続いた物事が付き纏い過去のオーナーだけでなく新規の購入者の伸びにも悪影響を及ぼすことになる