「水没時、脱出できない?」 クルマの横窓に「割れない合わせガラス」増加!? 知っておきたい採用される車種とは
割れない「合わせガラス」の特徴は? どんな車種に採用される?
合わせガラスを採用した窓は脱出用ハンマーなどで割ったところでひびが入る程度で、そこからの脱出は不可能とされています。
なぜサイドガラスにも合わせガラスの採用が増えているのでしょうか。
自動車用ガラス世界トップレベルのシェアを有するAGC(旧:旭硝子)に聞いてみました。
「合わせガラスは2枚のガラスの間に中間膜と呼ばれる特殊フィルムを挟んでいるため、割れても破片が飛び散りにくい特性を持っています。
強じんな特殊フィルムのため飛び石や接触事故など前方からの衝撃物に対して貫通しにくい特性があります。
さらに割れにくいため車上荒らしなどの盗難防止に効果的であり、紫外線から肌を守る性能や静粛性にも貢献しています。
このような特性から合わせガラスは高級車に採用される例が増えています。
一方、重量がかさんでしまうため燃費が気になる軽自動車やハイブリッド車などのエコカーに採用される例は稀です。
採用されるクルマは中・上級車の運転席・助手席のドアガラスのほか、高級になればなるほど後部座席のドアガラスや後ろの窓にまで採用されるケースもあります」
最近では高級志向のSUVに採用される例も多く、前述のアウトランダーPHEVやマツダ「CX-5」や「CX-8」にも運転席・助手席に合わせガラスが採用されています。
自分のクルマのサイドガラスに合わせガラスが採用されているかは、自動車メーカーのお客様相談室などで聞くと教えてくれるので確認しておきましょう。
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なお、前述の強化ガラスを割るためには脱出用ハンマーが必要ですが、2013年頃まで100円ショップで販売されていた激安のハンマー数種類は国民生活センターのテストによって強化ガラスであっても先端がつぶれているなどでほとんど「割れない」ことが証明されており、選び方に注意が必要です。
最近では発炎筒にガラス破壊具がついたものも人気で、日本カーリットの「スーパーハイフレイヤープラスピック」には自動車緊急保安炎筒に緊急脱出用ガラス破壊具が付いています。
水没や事故などでドアが開かなくなり、車内に閉じこめられた場合に、サイドガラスを割って、車内から脱出する際に使用します。
強化ガラスを割る際には窓の中央部ではなく端の方が割れやすいとされています。
何より大切なことは脱出用ハンマーやガラス破壊具を万が一の際、すぐ使える場所にセットしておくことです。
トランク内の工具箱に置いたままではいざというときに使えません。
発炎筒のように目に付く場所にセットしておくことをお勧めします。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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