街中を「戦車が走る!?」なぜ? 「信号も待ちます。戦車も公道を走ります!」 異様な光景が見られるワケとは
普段街中ではあまり見かける機会のない「戦車」。実は一部の地域では戦車が公道を走っている光景が見られます。
「戦車もくるま。公道を走ります。」
公道を走る車両といえば、乗用車やトラック、バイクなどが挙げられます。一部の条件下では農業に使うトラクターなども走ることがあります。
そうしたなかで、駐屯地の周辺では公道を戦車が走行する光景が目撃されます。どのような背景で公道を走るのでしょうか。
日常見かける自衛隊のクルマといえばトラックがほとんどです。
戦車が公道を走るなど怪獣映画やアニメのなかだけのようで非日常的なイメージです。
ところが戦車も輸送車に載せられて移動するのではなく、映画やアニメのシーンのように公道を自走することもあるといいます。
戦車にも一般のクルマと同じようにヘッドライトはもちろん、方向指示器やブレーキランプ、サイドミラー(脱着式)も付いており公道を走ることが可能です。
もちろん交通法規を遵守し一般車に混じって交差点で信号待ちをしますし、右左折する際には方向指示器も点滅させます。
有事の際には公道を走行することも想定しなければならないので「路上教習」も訓練の一環なのです。
装軌式(いわゆるキャタピラ)の74式、90式、10式といった戦車は悪路走破性は優れていますが、どこでも走れるという訳ではなく色々な制約あります。
一方戦車に見える装輪式(タイヤ)の16式機動戦闘車の走破性は戦車より劣りますが公道を走る制約は逆に少なくなっています。
大分県玖珠町のホームページには「戦車道における戦車等の通行予定について」、北海道千歳市のホームページには「C経路通行予定のお知らせ」というお知らせページがあります。
表題のC経路とは何のことやらわかりませんが、戦車などが東千歳駐屯地から北海道大演習場まで移動する際の公道を含む区間を「C経路」と呼んでいます。
これらホームページは訓練や演習で戦車や装甲車などが公道を走ることを自治体が告知しているものです。
これが戦車を公道を走らせる現実の大変さの一端です。装軌式の戦車や装甲車が走る経路は決められており、交差点などには誘導と安全管理の自衛隊員が立ちます。また周辺への振動や道路の破損を防ぐため低速で走行しなければなりません。
90式戦車は重さ約50トン、10式戦車はやや軽量ですがそれでも約44トンもあります。
どちらも路上最高速度70km/hとされており、公道を走る分には十分な速力のように思えますが、重さ50トンもの戦車がそんな速力を出せば激しい振動が起きて、道路を破損し周辺住民にも迷惑がかかるうえに危険です。
演習場内でも戦車が走った後の路面は相当に荒れており、装輪車では走れない状態になっていることも多く、演習場整備を主に担当する「施設科」からは「戦車は壊し屋」と呼ばれているといいます。
そのため、道路面の破損を防ぐため履帯にはゴムブロックを取付けますが、何十個ものゴムブロックをひとつずつボルト止めしていくのですから取付作業だけでも大変です。
この戦車が安倍元首相の国葬の警備に動員される