サーキットとストリートを両立できる HKSの新作車高調「ハイパーマックス R」を徹底インプレッション

満を持して登場の「R」 ではいったい何が変わった?

 さて、こうして3車種のHIPERMAX S装着車を体感した後に、この度登場した「HIPERMAX R」を試すことに。

HKS「ハイパーマックスR」が装着された「SUBARU BRZ」
HKS「ハイパーマックスR」が装着された「SUBARU BRZ」

 クルマは現行のBRZであり、スプリングレート(バネを1mm縮ませるのに必要な力)は、「S」がフロント5kg/mm、リア6.5kg/mmだったのに対し、「R」はフロント9kg/mm、リア10kg/mmというスプリングを装着しています。これはかなりハードそう……ワインディングで乗るにはちょっとオーバースペックな気がします。

 しかし、いざ走ってみるとそのスプリングレートが聞き間違いだったかと思えるほどのしなやかさがありました。路面のうねりも突起も見事にいなして行くのです。それでいてステアリングにはシャープさが際立つ応答があり、コーナーリングは確実かつ安定、立ち上がりのトラクションが高く豊かにスピードを重ねて行きます。

 サーキットを意識した足回りだから、走りに関して安定感が高まるのは当然といえば当然でしょうが、ピッチングもローリングも少なく収めて路面が荒れたワインディングを駆け抜けます。

 そうしたなか何より驚いたのは、前述した通りのしなやかさです。フリクションを感じることなく、動き出しから綺麗に縮み出す感覚が特徴的だと感じました。とにかく上質なのです。今回試乗したクルマにはヨコハマタイヤ「ADVAN A052」が装着されていたのですが、こうしたサーキット前提のハイグリップタイヤでも受け止める懐の深さがこの「足」には存在しています。

HIPERMAX R専用スプリング 「LVS (Low Vibration Spring)」
HIPERMAX R専用スプリング 「LVS (Low Vibration Spring)」

 このテイストを生み出した秘密は3つ。

 ひとつは、スプリングに高強度の材料を使ったことです。210kg級高強度線材により、ステアリングレスポンスが改善されました。ゴツゴツ感を感じさせず、高レートであることを感じさせないフィーリングを実現しているそうです。

 ふたつ目は、「R」専用に開発されたショックアブソーバーのオイルです。しっかり感と粘り、そしてサーキット走行でも熱ダレしないように配合されたオイルは、常に一定のフィーリングを示してくれます。

「ハイパーマックスR」専用装備のスプリングリテーナー
「ハイパーマックスR」専用装備のスプリングリテーナー

 そして3つめが、 「MAXIV SP」や「S」で一部車種のみ採用していたスプリング上部のリテーナーを「HIPERMAX R」では標準装備したことです。

 「MAXIV SP」と「S」では通常ラバーシートを介していましたが、リテーナーを使った事でアッパーマウントとスプリングが別の動きをするようになり、ダンパーがストロークをした際にスプリングに無駄なテンションがかからず、フリクションによる動きの悪さが無くなったのです。

 これらの合わせ技で、サーキット仕様であったとしてもしなやかに動く足回りが完成したというわけです。

 ならばHIPERMAX Sにもそれらを奢ればどうかと開発者に聞いてみましたが、リテーナー仕様にするとダンパーのストロークがやや犠牲になるため、スプリングレートがやや低いHIPERMAX Sでは底付きする可能性が高まるため、良さが出にくいとのことでした。

 こうして2種類の足回りはどちらも好印象となったわけですが、やはりHIPERMAX Rは、サーキットを頻繁に走るようなスポーツカーに似合っている「足」だということは間違いないでしょう。

 ストリートメインで走る人ならHIPERMAX Sは十分であり、最適解であることに変わりはありません。ですが、サーキット走行などの本格的な走りを欲しているようであれば、HIPERMAX Rを選んだ方が面白いかもしれません。

■HKS ハイパーマックスR(BRZ用) 278,000円(税別) 
■HKS ハイパーマックスS(GR86用) 238,000円(税別)
■HKS ハイパーマックスS(GRヤリス用) 238,000(税別)
■HKS ハイパーマックスS(VOXY用) 2022年9月発売予定

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【画像】HKS ハイパーマックスRとSが装着されたデモカーを見る!(24枚)

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