自動車税は、クルマの持ち主が毎年支払わなければならない税金です。
　
　基本的にクルマの用途と総排気量によって税額が決められますが、新規登録から13年経ったクルマは自動車税が高くなります。　

　この「13年」という期間にはどのような理由があるのでしょうか。

　自動車税とは、毎年4月1日時点での車検証に記載のあるクルマの所有者に対して支払い義務が生じる税金のことです。

　税額は自家用や営業用といった用途と総排気量によって決められており、電気自動車やプラグインハイブリッド車を初めとする環境性能が高いクルマは、減税されるなどの優遇を受けることができます。

　環境性能の高いクルマが減税される一方で、自動車税が重課されるケースがあります。

　それは、そのクルマが2015年4月1日を迎えた時点で新車登録されてから13年経過している場合です。

　この制度は「グリーン化特例」というもので、排出ガス性能や燃費性能に優れたクルマに対して減税すると同時に、新車新規登録から一定期間を経過したクルマには重課税する制度です。

　具体的に一定期間とは、11年以上経過したディーゼル車と、13年以上経過したガソリン車およびLPG車が重課の対象となっています。

　では、なぜ13年経過したクルマは、自動車税が高くなるのでしょうか。

　その理由について、東京都主税局の担当者は、以下のように話します。

「グリーン化特例が導入された背景には、地球温暖化や大気汚染などの日本の環境問題が大きく関わっており、グリーン化特例が導入された当時（2001年）は地球環境をいま一度見直そうという意識がありました。

　また、ハイブリッド車や電気自動車など、環境に気を使ったクルマの登場もあり、モデルによって環境に及ぼす影響も変わってくることが考えられるようになったため、バランスや公平さの観点から、13年を目安に自動車税料金を値上げすることになったのではないかと思います」
　
　2001年に導入されたグリーン化特例は、当初は重課措置の引き上げ割合はおおむね10％でしたが、その後2014年に重課の引き上げが行われ、現在ではおおむね15％の引き上げがなされています。

　現在、2019年9月30日以前に初回の新規登録を受けたクルマで、総排気量が1500cc超-2000cc以下のエンジンを搭載するクルマの自動車税額は3万9500円です。

　もしこれが13年経過したガソリン車であるとするならば、税額はおよそ4万5500円となります。

　ちなみに軽自動車では重課の割合が異なり、新規登録から13年を経過した場合におおむね20％の引き上げと、普通車と比較して重課の割合が大きく設定されています。

　軽自動車税は一律で1万800円であることから20％重課がなされると、およそ1万2900円です。

　さらに、13年が経過したクルマに対して重課される根拠のひとつとなっているのは、そのクルマが新車だった状態における燃費性能の違いにあるようです。

　環境省の担当者は、グリーン化特例について次のように話しています。

「13年という数字は国会で承認された数字となります。

　最近登場するクルマは燃費がよく、環境にも影響が少ないものが多いため、その分、昔に製造されたクルマには、多く自動車税を支払っていただくことになります」

　環境省が公開している資料によれば、2005年度のガソリン車の新車平均燃費は14km／Lだったのに対し、13年経過した2018年度には22.0km／Lと、57％も燃費が改善されていることがわかります。

　また、乗用車の平均使用年数は一般的に13年とされているといわれこうしたタイミングにより、重課を避けたいユーザーが増えることにより、クルマの買い替えを促すことができるだろうという考え方も、自動車税の引き上げが環境問題への対策になるという根拠になっているようです。

　しかし、これらの重課がなされないケースもあり、電気自動車やハイブリッド車、天然ガス車やメタノール車といった環境性能が高いクルマをはじめ、一般乗り合いバスや被けん引車といった車種も重課の適用外となります。

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　ちなみに欧米諸国では、新規登録もしくは製造から20年以上経過したクルマは歴史的・文化遺産的価値があるとして、税制だけでなく規制や車検に対する優遇措置も取られています。

　その点、日本において、いわゆる旧車と呼ばれるようなクルマを大切に乗り続けている人からは、不満の声が少なからず上がっているようです。