コロナ禍関係なく「車中泊需要」は高まっている? 多業種が注目の「寢る戦略」 利用次第で思わぬトラブルも増加か
車中泊する場所では需要に変化は見られるのか? 夏は利用に注意すべきワケとは
車中泊ユーザーの増加は、別のところにも見受けられます。
それは「RVパーク」の利用率です。RVパークとは、日本RV協会が“快適に安心して車中泊ができる場所”を提供するための定めた条件を満たす車中泊施設のこと。2022年6月末現在、全国に270か所設置されています。
日本RV協会のアンケートによると、「RVパーク」のユーザーの使用率は2013年が10%以下だったのに対して、2021年には60%を越えています。
キャンピングカーの登録台数自体が増加しているも要因ですが、同施設の認知度が上がっていることも利用率のアップに繋がっているようです。
さらに最近では、キャンピングカー以外の普通のクルマで車中泊をする人が増えているといいます。
静岡県にある「RVパーク用宗」の担当者は「ハイエースやライトエース、軽バンなどで来る人がここ最近増えている」といい、関東近郊のRVパークでも同様の回答が得られました。
そのなかの埼玉県にある「RVパークみどりの村」の担当者は次のように語ります。
「ウチでは2、3年前にTV番組で紹介されたこともあって、緊急事態宣言が発令されていない期間は『一般のクルマで行っても大丈夫?』 という人に多く来ていただきました。
そのほとんどの人が『お金を払ってでも、のびのびと車中泊をしたい』という理由で来場されていました。
なお、利用方法は、エンジンを掛けっぱなしにしない、直火をしないということを守っていただければ、私どもでは敷地内での焚火台の使用や、調理もOKにしています。
そのため、キャンピングカー以外のお客さまに喜んで使っていただいています」
また、静岡県にある「RVパーク伊豆黒根岬」の場合、その立地条件からサーフィンやダイビングを楽しむために車中泊をするユーザーが急増中だといいます。
ここは電源やトイレ、入浴施設、コインランドリーが完備されているという好条件から、こうしたマリンレジャー派の人々がミニバンなどでやって来るようです。
こうした施設関係者のなかには、夏の車中泊に警鐘を鳴らす人もいます。
それは、就寝中の熱中症。エンジンを停止してもサブバッテリーでエアコンを稼働させることができるキャンピングカーと違い、一般のクルマはエンジンを始動させないとエアコンを利かせることができません。
しかし、RVパークだけでなく、キャンプ場や公共駐車場などでも、エンジンの掛けっぱなしは基本禁止です。前出のRVパークみどりの村の担当者は次のように話しています。
「最近はポータブル電源などで稼働する車中泊用スポットクーラーもありますが、私どもの盆地の立地条件では、スポットクーラーをかけても車内温度が下がらず、寝ている間に危険な状態になることがあります。
ですので、ウチでは夏場の普通車の車中泊はお断りしています」
手軽にできてリーズナブルなイメージのある車中泊ですが、高温予報の際には留意すべきことが多そうです。
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また、昨今は車中泊をするユーザーが道の駅や高速道路のSA/PA、キャンプ場でトラブルを起こすことが増えているといいます。
原因は駐車スペースでのキャンプ行為をはじめ、ドアの開閉やカーオーディオなどによる騒音が挙げられます。
ほかのキャンプ客からの苦情により、車中泊禁止にしたキャンプ場もあるといいます。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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