高速がスゴイ! ホンダ新型「ステップワゴン」は走れるミニバン!? 走行性の高さと裏腹な気になるポイントとは

ホンダのミニバン「ステップワゴン」がフルモデルチェンジし、6代目モデルが発売されました。ターボ車、ハイブリッド車それぞれに試乗。さらに、「エアー」「スパーダ」も乗り比べました。

6代目となる新型ステップワゴンが登場

 ホンダ「ステップワゴン」は、「オデッセイ」「CR-V」に続く「クリエイティブムーバー(生活創造車)」第3弾として1996年に発売。あれから26年がたち、6代目となる新型モデルが2022年5月27日に正式発売されました。

 同年1月に初公開されるも、なぜ発売まで4か月のスパンがあったのか。それは最大のライバルである、トヨタ「ノア/ヴォクシー」が1月13日にフルモデルチェンジして発売されたことへの対策でした。

シンプルさが特徴のホンダ新型「ステップワゴン エアー」
シンプルさが特徴のホンダ新型「ステップワゴン エアー」

 直近のステップワゴンの販売はボロ負け。「新型でその流れを変える!」という想いもあり、先行公開することでユーザーをライバルに流れさせないとの目的があったと予想しています。

 そしてそんな新型ステップワゴンに公道で初試乗をおこないました。どのようなクルマに仕上がっているのでしょうか。

 まずは「エアー」から。内外装は「シンプル&クリーン」と「いいモノ感」が上手にバランスされており、従来モデルのノーマル仕様は「エアロが付かない安いグレード」というイメージがありましたが、エアーはエアロ系の「スパーダ」とは異なる個性を持っています。

 ただ、重箱の隅を突くと、遠目で見たときに軽ハイトワゴンのように見えてしまうのが、残念なポイントかもしれません。

 シンプルな内外装の一方で、スパーダと比べて装備内容が簡略化されているのは問題です。

 例えば、ハンドルがウレタン仕様(スパーダは革巻き)だったり、スパーダに設定のあるシートヒーター(運転席/助手席)や全列USBチャージャー、2列目オットマン(7人乗り仕様)、パワーリアゲート、LEDアクティブコーナリングライト、ブラインドスポットインフォメーションが、エアーにはオプションでも用意されません。

 開発者は「エアーとスパーダは同等の扱いです」といいますが、ユーザー目線では「結局安いヤツなのね」と思ってしまうのではないでしょうか。

 とくにパワーリアゲートが選択できないのはちょっと痛いところ。この辺りはスターティングプライスに関わるので悩ましいのですが、それなら価格訴求のベーシックグレードを別に用意したほうが良いでしょう。

 早速、ガソリン1.5リッターターボ搭載のエアーに試乗してみます。

 以前おこなったテストコースでのチョイ乗りの印象が良かったので期待してスタートしたものの、街乗りでは「あれっ?」というのが本音でした。

 具体的にいうと、1.5リッターターボは過給応答性アップによるドライバビリティ向上や剛性バランスが整えられた車体やショックを優しく包み込む乗り心地など、基本素性アップは実感できますが、どこかクルマ全体がシャキッとしていない緩さを感じました。

「なぜ?」と想いながら高速道路に入ります。速度域が上がるとそれまで印象とはまったく違います。具体的にはエンジンとトランスミッションのマッチング、芯のある信頼できるステア系、ノーズの入りの良さ、ロール感が少ない安定したコーナリング姿勢、リアの安心感など、まるで眠りから覚めたような印象。

 なかでも、コーナリング時の一連の流れの連続性と一体感はミニバンとは思えないレベルなのです。

「ミニバンなのに、なぜ美味しい領域が高めなの?」と感じましたが、これは新型ステップワゴンがハイブリッドの「e:HEV」メインで開発をしている証拠です。

 ちなみにガソリンターボとe:HEVの重量差は100kg。重いe:HEVに合わせた設計であれば、軽いクルマで負荷をかけたほうが走りの印象は良くなるというのは納得です。

 その印象を開発責任者の蟻坂篤史氏に伝えると「あっ、やっぱりわかってしまいました?」と苦笑い。

 そのうえで、「日常域でシャキッとしない理由は、フロントサスペンションのナラシが不十分なところ。もう少し走り込むと良くなると思いますよ」とのことでした。

 その言葉に思わずガクッときましたが、無駄に頑張りすぎてしまう辺りは、良くも悪くもマニアックで「ホンダらしいな」と。ターボの新型ステップワゴンを買ったらジックリとクルマを育ててください。

【画像】無限カスタムで「スパーダ」が迫力アップ! デザインイケてる新型「ステップワゴン 」を画像で見る(27枚)

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2件のコメント

  1. 仰る通りですね。
    特に、ホンダセンシングに関してはスバルのアイサイトのように「ver.〇〇」という風に明記してほしいです。
    また、対向車の検知、バイクの検知、交差点右左折時の歩行者や自転車の検知が可能な事がカタログやHP内でも明記されていない事。
    現行フィットからのシステムはこれまでのホンダセンシングとは全く別物なので、尚更そう思います。
    あとは、PM2.5等を検知する「クリーンエアー」ももっと大々的にアピールするべきではないでしょうか。
    ホンダはやはり宣伝があまり上手ではありませんね…

    • 同感です。本当に下手ですね・・・
      つまんない事でも多少大袈裟にでもアピールすればいいのに。
      せっかくイイモノを作っても認知されなきゃ意味ないし、他社がオイシイ所だけ持って行っちゃうよ。

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