なぜホンダ「N-BOX」ってなんでそんなに人気なの? ヒット車の条件とは
ユーザーの不満に真摯に対応して連覇を実現
大人気のうちに、2017年に初めてのフルモデルチェンジを迎えたN-BOXは、ヒット作の後継らしくキープコンセプト。詳しくなければ外観から新旧を見抜くことは難しいほどですが、中身はまったくの別物です。
プラットフォームはもちろん新設計となり、エンジンは初代と同じく直列3気筒のS型ユニットではありますが、ボアストロークが異なるためもはや新しいエンジンといっても差し支えないでしょう。
自然吸気は可変バルブタイミング・リフト機構を、ターボは電動ウェイストゲートを新たに採用し、燃費と加速の両方を向上させています。
そんな2代目の特徴は、室内空間やシートアレンジなどの使い勝手、質感や快適性といった初代の魅力をさらに磨き上げていることに加え、特筆すべきは安全装備の拡充でしょう。
衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、車間距離を自動調節するオートクルーズコントロール(以下、ACC)に車線維持支援システムなど、10種類の機能からなる運転支援システム「ホンダセンシング」を全車に標準搭載。
今となってはライバル車にも同等の装備は用意されていますが、2017年当時にグレードを問わず標準としたのは画期的でした。
結果、2代目N-BOXは初代を超えるセールスを記録。軽自動車の年度販売台数は一度も首位を譲ることなく連覇しています。その人気ぶりはSNSなどでの評判にも表れ、好意的なコメントが目立ちます。
なかでも多いのが、「軽自動車とは思えない静粛性、質感の高さにビックリ」「室内が広くて、クルマはこれ十分だと思った」「道具っぽいデザインでカッコイイ!」といったもの。そのほかでは燃費の良さも好評なようです。
その一方で、2代目のデビュー時には以下のような不満の声も上がっていました。
「カスタムのフロントマスクはもっと迫力が欲しい」
「N-WGNに付いている全車速対応型ACCをN-BOXにも!」
「室内にある補助ミラーが見づらい。旧型の方が良かった」
ホンダがN-BOXにかける意気込みを感じられるのが、こうした要望にきちんと対応しているところです。
2020年12月のマイナーチェンジでカスタムのアッパーグリルのメッキを立体化し、押し出し感のあるフロントマスクに変更。翌2021年には電子制御パーキングブレーキを採用し、ACCは渋滞時にも機能する全車速対応型に進化しました。
「ピタ駐ミラー」と呼ばれる補助ミラー(サイドビューサポートミラー)は2018年の途中から改良型に変更。ちなみに、有償にはなりますが、旧タイプのミラーのクルマでも改良型のミラーに交換することが可能です。
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2020年度と2021年度はコロナ禍における半導体不足などで販売台数は減少していますが、それでも年間20万台近くを販売しているのですから、もはや驚異的としかいいようがありません。
これは、目立たないものの細かい部分を底上げする地道な努力と、ユーザーの不満に対応する真摯な姿勢が評価されての結果でしょう。
そんな大人気のN-BOXも2代目登場からまもなく5年がたとうとしています。初代からのモデルチェンジは6年弱のタイミングでおこなわれたので、順当にいけば2023年中に3代目が登場するのかもしれません。
ホンダは2024年に軽規格のEVを登場させると発表しています。これはどうやらNシリーズ派生の商用モデルとなるようで、3代目N-BOX自体がEVとはならないようです。
軽自動車ゆえ車両価格があまり高くなりすぎるわけにはいかないという事情もありますが、ハイブリッドの採用はあるのか、どこまで自動運転が導入されるかなど、今後もN-BOXの動向から目が離せません。
まさか1代でプラットフォームとエンジンを刷新するとは思わなかったなぁ…
こういうところが実にホンダらしい!