超大画面! 次世代「Apple CarPlay」世界初公開! 日本でも普及進む? 欧米とは異なるインフォテイメント事情

日常的にカープレイを使う人が日本で増えない訳

 今回発表された次世代カープレイは、2013年からのカープレイ開発と実用化の流れのなかで、大きな転換期であるように思えます。

 一方、日本市場に目を向けると、カープレイを搭載する国産車が増加しているものの、日常的にカープレイを使っている人があまり増えていない印象があります。

トヨタ初搭載となった「カローラ」のディスプレイオーディオ
トヨタ初搭載となった「カローラ」のディスプレイオーディオ

 例えば、トヨタが新車組み込み式のディスプレイオーディオを国内でも販売し、”スマホアプリがクルマで使える”として、カープレイとの連携を強調してきました。

 ところが、ディスプレイオーディオの開発担当者は「日本の場合、欧米と比べてカープレイやアンドロイドオートの普及がなかなか進まない」という実情を漏らしています。

 背景にあるのは、やはり日本が世界屈指のカーナビ大国であることが大きく影響しているといえるでしょう。

 日本では1990年代から電機メーカー各社がこぞってカーナビの開発を進め、ディーラーオプションとアフターマーケットでカーナビ市場が大きく拡大。

 そのため、軽自動車から高級車まで、日本では新車組み込み型カーナビを基本とした、車内インフォテイメントが確立されてきたという流れがあります。

 これに対して欧米では、上級カーナビのコストメリットに対するユーザーの受け止め方やカーナビ機器の盗難に対するユーザーの不安、そして行先の表示方法を地図ではなく文字で書いて教えるという社会通念など、さまざまな理由から組み込み型カーナビが大衆化するスピードが日本とは大きく違いました。

 そうした日本とのギャップを埋める役目を果たしたのが、PND(パーソナル/ポータブル・ナビゲーション・デバイス)でした。ブランドでは、アメリカのガーミンや、オランダのトムトムが主流となったのです。

 PNDへの依存度が高かった欧米では、2000年代後半から一気に普及したiPhoneとアンドロイドフォンをPNDのように車内で使う人が増えていき、安全運転の観点から社会問題化。

 そうした社会課題への解決策という側面が、そもそもカープレイやアンドロイドオートにはありました。

 アップルとグーグルとしては、それを足がかりに、人の移動とクルマの移動とのデータ連携を実現し、多様なビジネスとの融合を狙ったのです。

 今回の次世代カープレイ導入を機に、日本市場を含めたグローバルにおいてアップルがCASE領域でどのような新戦略を打ってくるのか、これからも動向を注意深く見ていく必要があると思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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