世界初公開された新型「RX」何が変わった? 全面刷新したレクサスのラグジュアリーSUVを徹底解説!

7年ぶりのフルモデルチェンジを遂げるレクサス新型「RX」は、2022年6月1日に世界初公開されました。レクサスのグローバルコアモデルとなるRXは、5代目になったことでどのような進化を遂げたのでしょうか。

5代目となる新型「RX」世界初公開!

 レクサスは、グローバルコアモデルとなる新型「RX」を2022年6月1日に世界初公開しました。
 
 7年ぶりの全面刷新にて5代目モデルとなりましたが、どのような進化を遂げたのでしょうか。

レクサス新型「RX」は7年ぶりのフルモデルチェンジで何が変わった? 先代からの進化を解説!
レクサス新型「RX」は7年ぶりのフルモデルチェンジで何が変わった? 先代からの進化を解説!

 1998年「高級セダンの快適性を兼ね備えたSUV」として開発、プレミアムクロスオーバーSUVというカテゴリーを開拓したモデルがRXです。

 その後、他メーカーからも同様のモデルが登場しています。

 そして、2014年には弟分の「NX」が登場。この2台がレクサスの販売台数をけん引する重要なモデルです。

 2022年、2代目となるNXが登場しました。このモデルはレクサスのブランド変革「レクサスエレクトリファイド」を反映した第1弾として全面刷新。

 となると、兄貴分のRXへの期待はより高まっているはずです。

 そんななか、5代目となる新型が世界初公開されました。

 公開に先駆けて筆者(山本シンヤ)が実車に「見て・触れてきたので」、その印象を含めて紹介していきたいと思います。

 チーフエンジニアの大野貴明氏は新型の開発スタート時に、豊田章男社長に「RXを壊してくれ」といわれたといいます。

「RXは約95か国の国と地域で累計350万台を販売するレクサスのビジネスを支えるエース的存在です。

 当然、その新型となると“守り”に入りがちですが、社長の一言はコアモデルだからこそ“挑戦”が必要……と理解しました。

 先に登場したNXが高い評価を受けていますので、新型RXは大きなNXではなく、新たな基準を作るべく開発を進めました」

 エクステリアはパッと見るとキープコンセプトに感じますが、新旧を見比べるとNX以上に別物です。

 ボディに溶け込んだスピンドルグリルとして「スピンドルボディ」となり、エッジではなく面で構成される造形など、次世代レクサスのデザインモチーフを随所に採用。

 NX/RZとの共通性を感じますが、RXはホイールベース延長、前後トレッド拡幅によるスタンスの良さに加えて、伸びやかで張り出した面構成などにより“柔らかさ”を感じるフォルムに仕上がっています。

 ちなみにボディ後半のフローティングクォーターピラーは4代目から受け継がれた部分ですが、新型RXでは立体的に進化をしています。

 写真で見ると大柄に見えますが、ボディサイズは全長4890(±0)×全幅1920(+25)×全高1695(-10mm)と先代とほぼ同じです。

 インテリアは新世代レクサスのコクピットデザイン「TAZUNA Concept」に基づいてデザイン。

 操作系は視線を自然に誘うメーターフード、14インチタッチディスプレイなど操作系はNX/RZと共通ロジックですが、RXは奥行きを感じる伸びやかさがあるデザインに感じました。

 この辺りはメーターフードかドアトリムまで連続的につながる造形により、より水平的な空間を感じやすくなっているのかもしれません。

 居住性の高さも新型の特徴のひとつで、フロントはAピラー、ルーフ前端の後方配置により数値以上に解放感ある空間を実現。

 リアは先代+60mmとなる2850mmのホイールベースを活かし、足元スペースはゆとりさえ感じるレベルになっています。
 パワートレインは多様なニーズに応える豊富なラインナップです。

 2.4リッターターボ(RX350)、2.5リッターハイブリッド(RX350h)、2.5リッタープラグインハイブリッド(RX450h+)に加えて、新たなフラッグシップとなるパワートレインが新ハイブリッドシステム「2.4リッターターボ+DIRECT4」を搭載したRX500hです。

 DIRECT4は各種センサーの情報を用いて前後の駆動力配分を走行上に合わせて最適に制御する技術でRZにも採用済みです。

 大きな違いはRZが前後のモーター(eアクスル)で実現しているのに対して、RX500hはフロント・ハイブリッドシステム、リア・モーター(eアクスル)を組み合わせている点です。

 驚きなのはハイブリッドシステムで定番のTHS II(シリーズパラレル式)ではなく、新開発となる1モーターのパラレル式を採用しています。

 具体的には2.4リッターターボエンジン+モーター+6速AT(トルクコンバーターの代わりにクラッチ採用)で、バッテリーはバイポーラ型ニッケル水素を採用しています。

 エンジンとモーターの間にはクラッチが配置されているので、状況に応じてエンジンとモーターの使い分けや統合も可能です。

 つまり、THS IIのネガ(=ダイレクト感、レスポンス、伸び感)を解消する、ハイブリッドの新たな選択肢というわけです。

 2017年におこなわれた「トヨタ電動車普及に向けたチャレンジ」の発表会で、寺師茂樹副社長(当時)は次のように語っていました。

「今後もハイブリッドの技術をさらに磨き上げる必要があります。

 今まで以上に多様化を進めるには、THS IIだけでなく、トーイング性能が求められるCVやアフォーダブルな価格が求められる新興国向け、更にはスポーツカー用など、モデルの特性に合わせたシステムも開発していきます」

 その答えのひとつがこのシステムなのでしょう。

 ちなみに駆動力配分は100:0-20:80の間で制御されますが、豊田章男社長が2021年12月の電動化戦略発表会で、筆者の質問に対して次のように答えていました。

「電動化技術を活用すれば、AWDのプラットフォームをひとつ作れば制御次第でFFにもFRにもできます。

 そんな制御を持ってすれば、モリゾウでもどんなサーキット、どんなラリーコースでも安全に速く走れることができます」

 それはつまり、電気自動車(BEV)だけでなくこの新ハイブリッドでも実現できるということを意味しています。

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