最新技術スゲぇ! 「人とくるまのテクノロジー展2022」注目展示をピックアップした!
3日間で4万3665人の来場者数を記録し大盛況のうちに閉会となった、日本最大の自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2022 YOKOHAMA」。注目の展示をピックアップしてみました。
「人とくるまのテクノロジー展2022」で目をひいたブースや製品は…?
2022年5月25日(水)から27日(金)にかけ、パシフィコ横浜(横浜市)にて「人とくるまのテクノロジー展2022 YOKOHAMA」が2019年以来、3年ぶりにリアルの場で開催されました。出展ブースは400以上、3日間で4万3665人の入場者数を集めた日本最大の自動車技術展のなかで、くるまのニュースが注目したブースや製品を取材しました。
●旭化成(次世代コンセプトカー「AKXY(アクシー)2」)
旭化成ブースでは、未来のクルマの価値を高めるために不可欠な「3つのS」をコンセプトの柱としたコンセプトカー「AKXY2」が世界初公開されました。
このAKXY2は、2017年の同イベントで展示されたコンセプトカー「AKXY」とは異なるアプローチで制作された新しいコンセプトカーです。
「3つのS」とは、「Sustainability(持続可能なクルマづくり)」「Satisfaction(クルマの満足度向上)」、「Society(社会とクルマのつながり)」を意味するとのこと。
デザインのコンセプトについて担当デザイナーは「動かない居住空間を四角形に、動くクルマを丸としてイメージし、それを融合させたような形としてデザインをしました」と話し、従来の自動車という枠にとらわれない斬新なスタイリングとなっています。
また今回のコンセプトカーについて、旭化成の担当者は、「移動中だけでなく停まっているときにも快適に過ごせるかをテーマに、旭化成の住宅関連の事業部署からも知見を活用してこのAKXY2を開発しました。実際に過去、制作したコンセプトカーをきっかけに商談へつながってきた例もあるので、このように具体的な形としてコンセプトカーを継続して制作し、プロモーションをする活動につながっています」と話しました。
●ジヤトコ(FR用9速AT「JR913E」)
自動車用オートマチックトランスミッションの専門メーカーであるジヤトコは、FR車用9速AT「JR913E」を日本初展示しました。
このJR913Eは変速比幅9.1、トルク容量700Nm対応と、ハイパワーなFR車に対応可能なトランスミッションです。ミッションケースはジヤトコ初となるマグネシウム製を採用、オイルパンは樹脂製、結合にはアルミボルトが使用されるなど、小型軽量化にも力を入れて開発したといいます。
担当者はJR913Eについて、「9速というギア段数については、他メーカーの多段ATなどを徹底的にベンチマーク評価したうえで決定しました。従来の7速ATよりもコンパクトかつ軽量に仕上がっており、搭載性も向上しています。開発を進めるうえで、700Nmという大トルクに対応できるよう強度を高めながら、同時に小型軽量化や振動を抑制するという点に苦労しました」としています。
●デンソー(新型インバーター)
「2035年までにカーボンニュートラルを実現」をテーマに、電動化関連のモビリティ製品やCO2排出量削減に貢献するソリューション技術を紹介しているデンソーブース。
そのなかで展示されていた最新ハイブリッド車両用「電動インバーター」は、従来品より小型化が進められており、車両搭載性が大幅に向上しています。
従来のトヨタのハイブリッド4輪駆動車は、フロントとリアにそれぞれ2種類のインバーターが搭載されていましたが、今回の新型インバーターは内部部品の小型化と一体化により、これひとつを搭載するだけで前後の電動駆動に必要な機能を供給できるといいます。
この新型インバーターは、2022年に登場するトヨタのハイブリッド車から搭載される予定です。
●HKS(増速機付き電動過給機)
チューニングメーカーとして知られるHKS(エッチ・ケー・エス)は、「CASE(Connected〈コネクテッド〉、Autonomous〈自動運転〉、Shared&Service〈シェアリング、サービス〉、Electric〈電動化〉)」への取り組みと内燃機関技術の深化をテーマにブースを出展。
すでに市販実績のある後付け遠心式スーパーチャージャーやモーター、インバーターを組み合わせた、次世代過給機コンセプトのひとつである「増速機付き電動過給機」を展示していました。
その特長は、可動ローラー付のトラクションドライブ増速機構を用いることにより、組み合わされるモーターの汎用性を高めているところで、これにより製品採用へのリードタイム短縮やコストに関してメリットが大きいとしています。
ブース担当者によると、この展示品はすでに市販されている製品にそのままモーターなどをドッキングさせたものであり、実際は完成車メーカーなどの希望に応じ、よりコンパクトなレイアウトで製品化が可能とのことです。
●アイシン(フロント電動可変フラップ/アクティブフロントスポイラー)
アイシンは「モビリティ分野の電動化への取り組み」について、ブースに4つのコーナーを設け製品などを紹介していましたが、そのなかのひとつが「空力デバイス」です。
今回、実物が展示されていた「アクティブフロントスポイラー」は2022年から量産されており、トヨタが北米で販売している「タンドラ」にグリルシャッターと合わせて採用されています。
専用の内蔵モーターでスポイラーを展開し空気抵抗を低減するとともに、クラッチ機構を内蔵することで、悪路で障害物が前方から衝突したような場合にも、衝撃をいなして内部破損を防ぐ仕組みとなっています。
アイシンブースの担当者は「従来の可変型アクティブスポイラーなどの空力デバイスは、よりダウンフォースを生み出して運動性能を向上させる目的で採用される場合が多かったのですが、最近では空気抵抗の低減、電動車両の航続距離向上を目的に高機能化されるようになってきました。
アイシンでも、電動車両開発の部署の中に空力デバイスを開発する専用の部署が今年立ち上がり、今後もより本格的に開発を進めていきます」と話していました。
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「人とくるまのテクノロジー展2022」は名古屋での開催も予定しています。会期は2022年6月29日(水)から7月1日(金)まで、場所はポートメッセなごやです。
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