ホンダ新型「ステップワゴン」正式発表! 7年ぶりに全面刷新で「原点回帰」した6代目! 何が進化した?
新型ステップワゴンはどんな乗り心地なの? 実際に乗った印象は?
では、新型ステップワゴンのメカニズムはどうでしょうか。
最初にいっておきますが、パワートレイン/プラットフォーム共に先代の進化版です。
先に登場したトヨタ新型「ノア/ヴォクシー」の刷新っぷりと比べると少々ガッカリという人もいるでしょうが、心配は無用です。
最近のホンダは「過去を振り返らず、刷新」から「今あるシステムを最大限使いこなす」という熟成方向の考え方に変更しています。
つまり、先代での課題や反省をシッカリと受け止め、新型で完成形となるような進化をおこなっているというわけです。
エンジンはガソリン車が1.5リッター直噴ターボ。ハイブリッド車が2リッター自然吸気+2モーター「e:HEV」の2タイプですが、どちらもシッカリ進化しています。
ガソリン車はエキゾーストマニホールドやターボの改良による過給応答性アップでドライバビリティ向上。駆動方式はFFに加えてAWD(リアルタイムAWD)を設定。
ハイブリッド車はエンジンのクランク剛性アップやクランクダンパープーリーの採用などにより静粛性アップ(5dB低減)に加えて、制御系の変更でモーター/バッテリーをより積極的に活用するセットアップにすることで、“電動車感”をより強めています。
ただ、残念なのは駆動方式がFFのみで「フィット」や「ヴェゼル」で評価の高い「ハイブリッド×AWD」の設定がないことで、商品性の観点で見るとかなり辛いところです。
車体の進化はミニバンのウィークポイントである車体剛性アップがおこなわれています。具体的にはミニバンの弱点のひとつであるサイドシルの断面大型化、スライドドア開口部への構造用接着剤の塗布、リアスプリングの取り付け点強化などを実施。
体幹を鍛えた車体に合わせて最適化されたサスペンションやAHS(アジャイル・ハンドリング・アシスト)、EPS制御などにより、ドライバーだけでなく乗員全員が心地よいダイナミクスを実現。
さらに3列目でも快適な静粛性を目指し、吸音材・遮音材・遮音アンダーコート、遮音強化カーペットなどを適材適所に採用しています。
もちろん、運転支援システムも大きく進化しており、ハード/ソフト共にレベル3を実現したレジェンドに採用されたホンダセンシングエリートのテクノロジーをフィードバックした“新世代”ホンダセンシングを搭載。
残念なのはネーミングで、個人的には「バージョン2」や「2.0」といったように、従来品とは性能が格段にアップしていることを、もっと積極的にアピールしたほうがいいと思います。
今回発売に先駆けて、ホンダの栃木テストコース内でほんの少しだけ試乗することができました。
その印象は「ミニバン以上プレミアムミニバン未満」といった走りで、最大のライバルとなる新型ノア/ヴォクシーよりも“いいモノ感”は高いと感じました。
具体的には軽い操舵力ながら芯が強くシッカリ感の高いステア系、凄くかっちりしているわけではないが弱い所が少なく剛性に連続性がある車体、初期応答よりも連続性を重視した素直で滑らかなハンドリング、全高を感じさせない自然なロール感、フワフワではないがシットリした足の動きと吸収性でショックを優しく包み込む乗り心地などなど。
実は新型ステップワゴンの試乗直後に「オデッセイ アブソルート」に乗る機会があったのですが、基本素性では不利なステップワゴンながら負けず劣らずの実力であることを実感。
クルマの試乗は第一印象が非常に重要ですが、新型ステップワゴンはいい印象ばかりが記憶に残ったので、公道試乗が楽しみです。
最後に、多くの人が気になる価格はAirが299万8600円から340万4500万円、SPADAが325万7100円から366万3000円、SPADA PREMIUM LINEが346万2800円から384万6700円です。
ライバルと比べると若干高めの設定ですが、その理由はパワートレイン/駆動方式/乗車定員以外はモノグレードで価格訴求のようなスッピン仕様が存在しないためです。
ライバルと同じ装備内容のグレードで比べてみると、いうほど割高ではないことが解ってもらえるはずです。
このように、ライバルとはちょっと違った方向を目指しはじめた新型ステップワゴン。この挑戦にユーザーはどのような評価するか、非常に楽しみです。
※記事初出時より、小見出しの一部を訂正いたしました(26日午後18時00分)
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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