行政も認めた! スズキ「ジムニー」で「本気ゴミ拾い」!? 水中から廃車を引き上げることも!「猿ヶ島オフロード」の実態とは

関東圏では珍しい河川敷のオフロードコース「猿ヶ島オフロード」では、毎年3月に「猿ヶ島クリーンキャンペーン」と呼ばれるイベントがジムニーオーナーを中心におこなわれています。どのような催しなのでしょうか

行政からも頼りにされるジムニー愛好家たち

 神奈川県厚木市を流れる相模川の河川敷に「猿ヶ島オフロード」と呼ばれる場所があります。
 
 ここは無料で楽しめる天然の地形をほぼそのまま活かしたオフロードコースで、休日ともなるとスズキ「ジムニー」をはじめとしたクロスカントリー車やオフロードバイクが多数集まり賑わいを見せています。
 
 そんな猿ヶ島オフロードですが、毎年3月にはジムニーオーナーを中心に「猿ヶ島クリーンキャンペーン」と呼ばれるものが開催されるといいます。
 
 なぜジムニーオーナーがゴミ拾いのボランティア活動をおこなっているのでしょうか。

なぜジムニーオーナー達は「猿ヶ島オフロード」で「猿ヶ島クリーンキャンペーン」をおこなうのか?
なぜジムニーオーナー達は「猿ヶ島オフロード」で「猿ヶ島クリーンキャンペーン」をおこなうのか?

 この場所は、神奈川県や厚木市などの自治体が認めており、河川敷のオフロード部分が開放されているのは首都圏では非常に珍しく、猿ヶ島を含めて数か所だけです。

 なぜ、猿ヶ島は自由に走れるオフロードコースとして長い間、開放されてきたのでしょうか。

 それが実現できている理由には、「自分たちが走る場所は自分たちで守ろう!」という、地元のジムニーオーナーやオフロードバイクオーナー中心としたさまざまなボランティア活動があります。

 その中心人物はジムニー・四駆専門店の「RV4ワイルドグース」の二階堂裕氏です。どのような活動をいつ頃から続けているのか、話を伺いました。

――ジムニーオーナーによるボランティア活動はいつ頃始まりましたか?

 日本ジムニークラブ(JCJ)が設立されたのが1982年。その頃から静岡県の浜岡砂丘などでのゴミ拾いなどの活動をしていました。

 その後、猿ヶ島でオフロードスクールを定期的に開催するようになり、参加者の皆さんに、「手に持てるだけで良いので、ゴミを持ち帰って捨ててください」とお願いを始めたのです。

 ですが、手に持てるだけの量ではやはり限界があって、猿ヶ島を綺麗にするといっても自己満足くらいしかならないなあと。どうせなら行政を巻き込んで大々的にやっていきたいと考えるようになったのです。

――そこで始まったのが「猿ヶ島クリーンキャンペーン」ですか?

 そうですね。きっかけになったのは猿ヶ島周辺にクルマの不法投棄が増え始めたことがあります。

 2005年にリサイクル券の制度が始まる前、廃車費用は3万円程度掛かっていた時代がありました。

 それで、廃車費用を支払いたくない悪い人たちがクルマを不法投棄していくようになったのです。

 相模川の河川敷などに30台近くが捨てられていたこともあったんですよ。

 行政(厚木市)の話だと処理費用が河川敷の入口までなら3万円だけど、川の中に捨てられている場合は川に重機やレッカーなどを入れて引っ張り出す必要があるので30万円程度かかることも。

 そこで私から提案しました。「4駆の仲間たちに声を掛けて引っ張り出して運んでもらいましょうか?」と。

 行政の担当者は驚いていましたね。「(重機や大掛かりな装置を使うことなく)そんなことができるんですか!」と。

――川に捨てられた車両の引き上げで4駆ボランティアはどれくらい集まったのですか?

 懇意にしている4駆のクラブの仲間たちに声を掛けたらランドクルーザーなど大きな4駆含めて30台集まりました。

 みんな嬉々として川に入って捨てられた車両の引き上げに協力してくれました。4駆の本領発揮ですね。みんな引っ張るの大好きですから(笑)

 そして皆さん、長年、4駆に乗っていて実際にオフロードでの走行も非常にレベルが高い人達ばかりです。だから、けが人も出ませんし統率もとれています。

――行政の担当者もさぞかし喜んだでしょうね

 最初の頃は、『作業中にケガをしたらどうするんですか』『誰が責任とるんでしょうか』など、心配もされました。

 ですが、4駆のオフロード機能を駆使してレベルの高い作業ができていることが分かったあとは、安心していました。とても感謝されました。

 何といってもコストダウンがスゴイ。川の中から入口まで持って来れば1台当たり27万円もコストダウンできるんですから。もちろんその先(川の入口から処分場に運ぶなど)は、行政にやってもらいましたが。

 その流れもあって年に1回、相模川クリーンキャンペーンを大々的におこなうようになりました。

――時期はいつ頃、実施されているんですか?

 だいたい3月頃です。夏は草がたくさん生えて周囲が見えなくなるほどですから、ゴミも探しにくいですし、炎天下では作業が辛いです。

 なので、草が枯れてまた生え始める前の視界がよい、気候も良い3月に実施するようになりました。多い時には300名以上が集まります。

――猿ヶ島オフロードではキャンプやBBQを楽しむ人の姿もありますね。

 はい。アウトドアレジャーを楽しむ場所でもあります。ですが、ごみを捨てているのは彼らではありません。外から持ってくるんです。

 猿ヶ島でキャンプする人達はマナーがとても良いのです。それはなぜかというと「また来ることが前提」だからです。

 多摩川など都会に近い場所ではBBQや花見をする人達がそのままゴミを置いて帰ったり、芝生のうえで直接焚火をしたり、悪事がメディアで報道されることもありますが、そういう人たちとは層が違います。

 猿ヶ島で遊ぶ人達はまたここでキャンプできるように綺麗に使って綺麗にして帰っていくんですよ。オフロードコースも同じですね。

※ ※ ※

 二階堂氏によると、猿ヶ島オフロードは自然の地形も素晴らしいとのこと。

「面白いんですよ。距離も結構ありますし、いろいろな地形を楽しめます。ジムニーで走るのいいし、ランクル等大きな4駆で走っても楽しいです。

 草も生えていて、泥んこもある。砂地もある。そして、鳥たちがたくさんいて、野生のキジも見られます」

 自分たちが走る場所は自分たちで守る。猿ヶ島オフロードはマナーの良い上質な4駆オーナーたちによって行政とも手を組んで長年守られてきた、まさに「聖地」といえる場所のようです。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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