4輪駆動、なぜスバルは「AWD」? 「4WD」でない理由
「AWD」でなにが差別化できるのか? 背景にある歴史
いまから44年前の1972(昭和47)年、世界初の4輪駆動乗用車としてスバル「レオーネ エステートバン 4WD」が誕生しました。きっかけは、宮城スバルが富士重工に持ち込んだ1台の試作車です。
当時、宮城スバルの大口顧客であった東北電力は土地柄、冬季の業務にジープタイプの4WD車を使用していましたが、走破性は高くとも日常使用に適さないなど、不満があったといいます。
そこで東北電力は、自社で特装車を手掛ける知識と、クルマ好きだった社長(当時)の「スバル車の水平対向エンジンと4WDとのマッチングに高い可能性を感じる」という推察を元に、宮城スバルに乗用車タイプの4WD車制作を依頼しました。
宮城スバルは、「スバル1000」をベースに4WDモデルの製作を開始。他社モデルのデフやドライブシャフトを装着し、試行錯誤を重ね、10ヵ月の開発期間を経て「スバル1000バン4WDモデル」が完成しました。宮城スバルは富士重工に量産を打診します。
その仕上がりは上々で、さっそく量産モデルの開発がスタートしますが、スバル「1000」がモデル末期だったため、プロジェクトはフルモデルチェンジ後の「レオーネ」へ引き継がれることになりました。それが、前述の「レオーネ エステートバン 4WD」。1972(昭和47)年8月のことです。
スバルの4輪駆動車はこのように「日常の乗用」のため誕生し、進化してきました。同社が「4輪駆動車」に対し「AWD」と呼称している背景には、非日常的でオフロード色が強い「4WD」という表現に対する差別化の意図があるのかもしれません。
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提供:乗りものニュース
Writer: 大西紀江(ライター/編集者)
静岡・伊豆出身のライター、編集者。乗りものオタクの総本山ともいうべき某出版社の編集を経て、フリーランスに。以来、自動車を中心に模型から時計まで、幅広く執筆&編集を手掛ける。象の調教師の免許あり。