まさに「一歩先を行く」車だった!? 流行の先駆け的存在の車3選

クルマには時代によって流行があります。とくに外観デザインや売れるクルマは時の流れとともに変化し続けているといえるでしょう。そこで、流行の先駆けだったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

後の流行を早くに取り入れていたクルマを振り返る

 クルマの外観デザインは時代によって流行があり、近年ではスポーティなシルエットの流麗なフォルムがトレンドになっています。

他車に先駆けてデビューしたエポックメイキングなクルマたち
他車に先駆けてデビューしたエポックメイキングなクルマたち

 また、売れるクルマもニーズの変化から多様化しており、かつてはセダンが各メーカーの主力でしたが、現在はSUVや軽ハイトワゴン/トールワゴンがヒットしています。

 これまでクルマにはさまざまな流行があり、ほかにも1980年代はターボエンジン車が台頭し、1990年代初頭にはクロカン車を中心とした「RVブーム」が起こりました。

 そして、振り返ってみると実は先駆者だったクルマも存在。そこで、流行の先駆けだったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●マツダ「サバンナRX-7」

スポーツカーらしいフォルムにリトラクタブルヘッドライトは欠かせなかった「サバンナRX-7」

 マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン車の「コスモスポーツ」を発売しました。斬新なデザインのボディとパワフルなエンジンという、本格的なスポーツカーでした。

 その系譜を受け継いだといえるのが、1978年に登場した初代「サバンナRX-7」(SA22C型)です。

 外観の特徴は、小型軽量なロータリーエンジンをフロントミッドシップに搭載することで実現した、低くシャープなデザインのフロントノーズで、トヨタ「2000GT」に続いて国産車では2例目となるリトラクタブルヘッドライトを採用しました。

 当時はいわゆる「スーパーカーブーム」の真っ只中で、リトラクタブルヘッドライトはスーパーカーの証=高性能車をイメージさせ、サバンナRX-7の登場以降はスポーツカーを中心にリトラクタブルヘッドライトが流行しました。

 さらに、セダンやコンパクト・ハッチバックなどにも採用が拡大され、1980年代から1990年代は数多くのリトラクタブルヘッドライト車が販売されました。

 一方、サバンナRX-7の場合は空気抵抗を考慮した実用的な面での採用で、実際に空気抵抗係数のCd値は0.36を達成。

 エンジンは573cc×2ローター自然吸気ロータリー「12A型」を搭載し、最高出力130馬力(グロス)と、走りも秀逸なスポーツカーでした。

 さらに1982年には、12A型にターボチャージャーを追加した「サバンナRX-7ターボ」が登場。最高出力は165馬力(グロス)にまで向上し、1020kg(GTターボ)という軽量な車体も相まって、走りのポテンシャルはさらに高まりました。

 その後、1985年には2代目サバンナRX-7(FC3S型)にスイッチし、1991年には3代目にあたるアンフィニ「RX-7」(FD3S型)がデビュー。FD3S型 RX-7は国産車で最後のリトラクタブルヘッドライト車となりました。

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●日産2代目「プレーリー」

デザインから仕様まで現在のミニバンに必要な要素を確立していた2代目「プレーリー」

 ミニバンが普及する以前は、3列シートで6人以上の多人数乗車が可能なクルマというと、FR駆動でキャブオーバー型ボディのワンボックスワゴンが主流となっていました。

 そんなか日産は1982年に、ステーションワゴンタイプのボディの3列シート車、初代「プレーリー」を発売。駆動方式はFFで低床化し、両側スライドドアにセンターピラーレスを採用するなど、ミニバンの元祖といえる存在でした。

 しかし、初代プレーリーはユーザーから受け入れられたとはいえず、ヒット作にはなりませんでした。そこで1988年に、2代目プレーリーへとフルモデルチェンジを敢行。

 2代目ではセダン系のシャシに背の高いステーションワゴンタイプのボディを架装し、両側スライドドアを継承。一方、センターピラーレスは廃止されボディ剛性の向上を図り、5人から8人乗りのグレードがラインナップされました。

 また外観デザインは、低いボンネット先端からワンモーションでフロントガラス、ルーフへとつながるラインとしたシルエットで、後のトヨタ「エスティマ」に先駆けたボディ形状をいち早く採用。

 しかし、この斬新なデザインは好評とはいえず、1995年のビッグマイナーチェンジで、ボンネットが水平に近いフロントセクションへと一新されました。

 その後は「プレーリーリバティ」「ラフェスタ」、そして「セレナ」へと変遷を繰り返し、日産製小型ミニバンの礎となったのです。

 残念ながら2代目プレーリーもヒットしませんでしたが、デザインを含め現在のFFミニバンの要素を確立した真の先駆者といえるモデルでした。

●スズキ初代「ワゴンR」

洗練されたデザインで幅広いユーザーから人気となり、軽トールワゴンの先駆けとなった初代「ワゴンR」

 現在、日本の自動車市場でトップセラーに君臨しているのは軽ハイトワゴン/トールワゴンですが、前身となる軽ワゴンというとワンボックスタイプのモデルでした。

 キャブオーバー型ボディの軽ワゴンはスペース効率に優れ、4人乗車時でも大量の荷物の搭載が可能だったことや、リアのスライドドアは使い勝手が良好なことも相まって人気を博し、各メーカーから販売されていました。

 しかし、ベースとなったワンボックスバンのイメージが色濃く、幅広いユーザーから支持されたわけではありませんでした。

 そこでスズキは1993年に、初代「ワゴンR」を発売。ワンボックスバンのイメージを払拭したトールワゴンという、軽自動車の新たなジャンルを確立した革新的なモデルでした。

 外観はミニバンをコンパクトにしたイメージで、その後の軽自動車のデザインにも大きな影響を与えました。

 また、ドアはすべてヒンジドアとし、左側が2ドア、右側が1ドアと左右非対称にして安全面への配慮とコストダウンが図られました。

 初代ワゴンRはデザインやユーティリティの高さが評価され、老若男女問わず幅広いユーザーから人気を集めました。そして、他メーカーも追従して同様のトールワゴンを発売し、現在に至ります。

※ ※ ※

 2番目に紹介した2代目プレーリーを追う形でホンダは1994年に初代「オデッセイ」を発売し、大ヒットを記録。ミニバンブームの火付け役となりました。

 その後は各メーカーからさまざまなタイプのミニバンが乱立しましたが、近年は背が高いスクエアなボディに両側スライドドア、駆動方式はFFを基本とするなど仕様が固定されるようになり、それ以外のミニバンはほとんど淘汰されました。

 日本におけるミニバンの歴史は30年ほどと長くはありませんが、トライ・アンド・エラーが繰り返された歴史といえるでしょう。

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1件のコメント

  1. 二代目プレーリーのエクステリアデザインは、当時はルノーエスパスのパクリと言われてましたね。

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