ハッチバックにトランク付けた!? 微妙なスタイルがクセになる小型セダンの魅力とは
かつての小型セダンのなかには、ハッチバックをベースとしたモデルがあります。そのなかには「なぜこのスタイルで?」と疑問を持ちたくなるほどアンバランスなモデルも存在しますが、不思議なもので、そういったモデルほど印象に残るようです。
セダンを支持する保守派のニーズにより誕生!?
いまや絶滅危惧種となった「セダン」は、ひと昔前までは完全な主力モデルでした。そして誰もが手にしやすいコンパクトセダンがバカ売れした時代があったのです。
現代の子どもたちがクルマの描くクルマの形はミニバンやSUVかもしれませんが、少し前まではクルマといえば独立したトランクがある、ノッチバックスタイルのセダンが一般的。
3ナンバー車の税制が改められて垣根がグッと低くなる前は、いわゆる5ナンバーの小型車、とくにコンパクトセダンがもてはやされ、バブル期前後までは「国民車=コンパクトセダン」が定説でした。
また庶民が手を出しやすい車種としてハッチバックも人気となったのですが、当時は高級セダンを頂点とする考え方があり、「ハッチバック=安くてチープでお金のない若者向け」というイメージが根強く残っていたのです。
実際に当時の各メーカーのエントリーモデルは、ほとんどがハッチバックでした。
日本でハッチバックの普及が本格化したのは1970年代初頭からですが、そんななか1974年に登場したフォルクスワーゲン「ゴルフ」(初代)が世界的な大ヒットモデルとなりました。
そしてゴルフの高い完成度を活かしつつ、もっと実用性を高めるべく、1979年には独立したトランクを装備した3BOXスタイルの「ジェッタ」(初代)が誕生。
北米市場や欧州の保守層向けに開発されたといわれており、当時としてはクラストップの630リットルもの荷室容量を誇っています。
しかし、これがベースとなったゴルフにトランクを足しただけのセダンという安直にも見えるスタイルだったことから、そのアンバランスさが逆に話題となり、俗にいう「地味なのに悪目立ち」しているコンパクトセダンとして認識されていきました。
そしてその流れは日本車にも多く取り入れられ、なかにはハッチバックの人気モデルにトランクをくっつけたジェッタと同じパターンを採用するモデルもありました。
これは、「クルマといえばセダンだ」と考える保守的なユーザー向けで、「人気モデルで出来も良いとはいえ、ハッチバックでは(トランクの狭さなどで)心許ない」と考える高齢者を中心に一定のニーズがあるジャンルとなり、選択肢のひとつとしてラインナップに加わったのです。
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現在、国内で販売される5ナンバーサイズのセダンはめっきり数を減らし、残っているのはトヨタ「カローラアクシオ」くらいです。
2019年に新型「カローラ」(セダン)が登場しており、どうしても5ナンバー車が欲しいという人や法人向けにカローラアクシオの販売が続けられています。
ただし、海外ではいまでもコンパクトセダンが支持されており、日本メーカーが開発した海外市場向けのモデルがラインナップされています。
プラッツが抜けてるな…スポンサーに気を遣ったの?