シブい見た目でハイスペックなところがカッコイイ!「ちょいワル」な印象のセダン3選
近年、セダンの人気はイマイチ盛り上がっていませんが、高額なラグジュアリーセダンは一定の需要がありラインナップも比較的豊富といえます。また、ラグジュアリーセダンには高性能なモデルも存在。そこで、往年のラグジュアリーセダンのなかからハイスペックなモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
往年の「ちょいワル」セダンを振り返る
日本の自動車市場ではセダンの人気低迷が続いており、ラインナップの減少が続いていますが、高額なラグジュアリーセダンは一定の需要があります。
1988年に日産初代「シーマ」が誕生した以降は、ラグジュアリーセダンの市場が一気に活性化し、各メーカーから次々と発売され、1990年代は隆盛を極めていました。
また、ラグジュアリーセダンには「余裕ある走り」も求められるため、高性能なパワーユニットを搭載しているケースが一般的で、なかにはスポーツカー顔負けのセダンも存在しました。
そこで、往年のラグジュアリーセダンのなかから「ちょいワル」な香りがする高性能モデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ初代「アリスト」
トヨタは1987年に発売された8代目「クラウン」、1989年に発売された初代「セルシオ」と、好景気を背景にラグジュアリーセダンのヒット作を次々に世に送り出しました。
さらに次の一手として1991年に、それまでにないスポーティなラグジュアリーセダンとして、初代「アリスト」が登場。
アリストのコンセプトはラグジュアリーなスポーツセダンで、外観デザインは巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが主宰するイタルデザインが手掛け、ワイド&ローなフォルムの斬新なクーペスタイルを採用しました。
さらに、アリストの最大の特徴だったのがエンジンです。トップグレードの「3.0V」には最高出力280馬力を誇る3リッター直列6気筒ツインターボ「2JZ-GTE型」を搭載。トヨタのスポーツユニットでは最高峰に位置するエンジンで、後に「A80型 スープラ」にも搭載されました。
その後、1992年にはセルシオと同型の4リッターV型8気筒自然吸気「1UZ-FE型」エンジンを搭載した4WDモデル「4.0Z i-Four」が追加。
最高出力は260馬力と3.0Vには届いていませんでしたが、大排気量自然吸気エンジンならではのシャープなレスポンスと余裕あるトルクは、アリストのキャラクターにマッチしていたといえます。
また、足まわりは路面追従性に優れた前後ダブルウイッシュボーンを採用し、4.0Z i-Fourには電子制御エアサスペンションが装備され、4輪のバネレートとショックアブソーバーの減衰力、車高を走行状態によってコントロールし、優れた走行安定性と乗り心地、さらに高い旋回性能を実現。
初代アリストはシャープなスタイリングと2JZ-GTE型ツインターボエンジンによる暴力的な加速から、セルシオとは異なるユーザー層から人気を集め、まさにちょいワルなセダンの代表的な存在だったといえます。
●日産初代「フーガ」
かつて、日産を代表するラグジュアリーセダンだった「セドリック/グロリア」は、2004年に両モデルを統合した新世代のセダン、初代「フーガ」へと生まれ変わりました。
初代フーガの外観は抑揚のあるボディパネルでボリューム感を演出し、ラウンドしたルーフラインによる流麗なシルエットが特徴となっていました。
搭載されたエンジンは当初、2.5リッターと3.5リッターのV型6気筒「VQ型」でしたが、2005年には「プレジデント」や「シーマ」に搭載されていた4.5リッターV型8気筒の「VK45DE型」を搭載した「450GT」が登場。
GTの名にふさわしく最高出力は333馬力と余裕あるパワーを誇り、V型8気筒エンジンを誇示するかのように左右4本出しのマフラーが装着され、迫力あるリアビューに差別化されました。
また「450GT スポーツパッケージ」では、19インチタイヤと専用にチューニングされた足まわりに、4WSシステムの「リヤアクティブステア」が装備され、優れた旋回性能と高い走行安定性を両立。
内装では本木目と本革がふんだんに使われるなど、パーソナルカーのフラッグシップにふさわしい装いとなっていました。
その後、2009年に現行モデルの2代目にフルモデルチェンジすると、全グレードともパワーユニットがV型6気筒エンジンとなったことから、450GTは一代限りでした。
●ホンダ5代目「レジェンド」
ホンダは1985年に、高級車市場に参入するために初代「レジェンド」を発売。翌1986年にアメリカで開業したアキュラブランドのトップモデルという重責も担いました。
その後レジェンドは、ホンダイズムあふれるスポーティなラグジュアリーセダンというコンセプトを継承しつつ代を重ね、2015年には5代目が登場。
5代目レジェンドはもともとアキュラ「RLX」として開発されたモデルで、日本では北米市場から2年ほど遅れての発売でした。
ボディサイズは全長5030mm×全幅1890mm×全高1480mmと、堂々とした体躯で、シャープなフロントフェイスはスポーティながら重厚感も兼ね備え、流麗なフォルムのボディは躍動的でした。
パワーユニットは最高出力314馬力の3.5リッターV型6気筒自然吸気エンジンと、48馬力のモーターを内蔵した7速DCTを組み合わせて前輪を駆動し、リアアクスルの左右にはそれぞれ37馬力のモーターを搭載して後輪を駆動。システム最高出力は382馬力の大出力を誇りました。
また、ドライブトレインには、エンジンと3つのモーターによって高度なトルクベクタリングを可能にする「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用していました。
このシステムはモーターを用いることで駆動力(プラスのトルク)と減速力(マイナスのトルク)の左右配分をも可能にし、それまで加速旋回時だけだったトルクベクタリングを減速旋回時にまで拡大。あらゆる走行状況で高いコーナリング性能を誇りました。
そして、2018年のマイナーチェンジでは、アキュラブランドでおこなわれたデザインコンセプトの統一によってフロントフェイスを刷新し、2021年3月には世界初の自動運転レベル3を実現した「Honda SENSING Elite」を搭載する「レジェンド Hybrid EX・Honda SENSING Elite」を限定100台で発売(リース販売のみ)するなど、技術的に世界をリードする存在となりました。
しかし、近年の極端な販売低迷もあり、2021年12月をもってレジェンドは長い歴史に幕を下ろしました。
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現在、レクサス、トヨタ、日産がラグジュアリーセダン市場に留まっていますが、欧州勢に押され気味となっている感が否めません。
また、欧州のラグジュアリーセダンはEV化も進んでいます。
静粛性や高額な価格を容認する意味でも高級車とEVは親和性が高く、今後、国産勢の巻き返しが期待されます。
「2021年12月をもってレジェンドは長い歴史に幕を下ろした」って書かれているけど、2012年にも一度生産終了しているんだよね。
将来また復活するかもな。