スバル「フォレスター」の雪道性能を豪雪の山形で試す! ロングドライブで感じたスバルAWDのスゴさとは
雪道の走行だけでなく寒さへの備えも万全!
極寒の山形へのロングドライブで感じたのは、フォレスターのホスピタリティの高さでした。
たとえばシートヒーターは冬の快適性を大きく高めるアイテムですが、運転席と助手席には全車、リアシート左右席もベーシックグレードの「ツーリング」を除き標準装備。なお、ツーリング以外のグレードはステアリングヒーターも標準採用です。

このような装備は、ミドルクラスのSUVになれば上級グレードに備えるのは一般的ですが、幅広いグレードに標準装備とするのはスバルならではといって良いでしょう。
またメカニズム面でも、ヒーテッドドアミラーや電熱線でフロントウインドウに固着したワイパーの氷を解かすフロントワイパーデアイサー、そしてヘッドライトに付着した汚れや雪、氷を落とすヘッドランプウォッシャーまでもすべてのグレードで標準装備。
雪道走行に備えたアイテムをここまで標準採用するのもスバルのこだわりで、それがウインタードライブの安全安心にも直結することは雪道を走ればよくわかります。
このクラスのハイブリッドカーは後輪をモーターだけで駆動するタイプの4WDも増えています。
しかしフォレスターをはじめとするスバルのAWD車は、ハイブリッドモデルであってもエンジンの動力をプロペラシャフトを通じて後輪へ送る従来ながらの仕掛けを継承。雪道を走って改めて感じたのは、ドライバビリティに優れていることです。
スタビリティコントロールと協調して「滑らないこと」を基本に、雪を跳ね上げながら走るような深く雪が積もった場所でもタイヤがしっかりと路面をとらえるから、絶対的な安心感が伝わってきます。
一方でスタビリティコントロールをオフにすれば、リアにも大きなトルクが伝わるAWDシステムのおかげでドライバーが積極的にアクセルを踏み込んで曲がっていくような走りも実現。そのコントロール性の良さから、4WDシステムはスタビリティコントロールに頼ならなくても、きちんと走る素直な調律が施されていることが理解できました。
さらに雪道では、スタックした際には滑りやすい路面でのタイヤの空転を抑えて発進などをアシストする電子制御システム「X-MODE」の搭載も安心材料です。
ただし、今回は雪深い路面でもX-MODEを使うシーンは訪れませんでした。それは言い換えれば、スバルのAWDの基礎的なトラクション能力が優れているからに違いありません。
1000kmを超える雪山へのロングツーリングで実感したのは、アイサイトに備わるACC機能の制御の緻密さと、高速巡行時の疲労の少なさ。
そしてシートヒーターをはじめとする寒い場所でのホスピタリティと、ワイパーデアイサーなど極寒への備え、さらにはスバルのAWDの安心かつ素直な走行性能です。
フォレスターはそれらの相乗効果で、雪道で頼れるパートナーだということを深く再認識しました。
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ロングドライブというと燃費も気になるところです。今回フォレスターの燃費はどれくらいだったのでしょうか。
行程は9割ほどが燃費に有利な高速道路でしたが、燃費に不利なスタッドレスタイヤを履き、月山周辺では雪道も長く走ったうえで1067kmを走行しての平均燃費は14.3km/L。カタログに記載されているWLTCモードの14.0km/Lを超える結果となりました。
「スバル車は燃費が悪い」といわれることがありますが、この実燃費から判断するとそれは過去の話といっても良さそうです。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。







































