超絶ワイルドなコンパクトカーがあった!? 機能的な見た目が魅力的な4WD車3選
クロスカントリー車に代表されるオフロードカーは、走りの性能だけでなく機能的な外観も大いに魅力的です。そこで、走りも見た目もクロカン車並みに仕立てられてクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
クロカン車並みに仕立てられたクルマを振り返る
ここ数年、世界的で人気が沸騰しているクルマといえばSUVですが、さらに本格的なクロスカントリー4WD車も注目を集めています。
2021年8月に発売されたトヨタ新型「ランドクルーザー 300」は、すでに納期が4年ほどかかるとアナウンスされ、日本市場ではほかにもジープ「ラングラー」が好調なセールスを記録。
北米市場では2021年夏に復活したフォード「ブロンコ」が19万台もの受注があるなど、クロカン車人気はますます加熱しています。
しかし過去には、悪路走破性の高いクルマはクロカン車だけでなく、既存のモデルをベースに仕立てられたケースも存在しました。
そこで、走りも見た目もクロカン車並みという異色のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「デリカ スターワゴン4WD」
現在、ファミリーカーの定番といえばミニバンですが、急速に普及したのは1990年代で、それ以前は多人数乗車が可能なモデルはワンボックスバンをベースにしたワゴンでした。
そのワンボックスワゴンをベースに悪路走破性を高めた画期的なモデルが、1982年に誕生した「デリカ スターワゴン4WD」です。
外観はワンボックスワゴンそのもののスクエアなフォルムですが、最低地上高が高められて大径のオフロードタイヤを装着し、フロントにはブッシュガードを装備するなど、クロカン車をイメージしてモディファイされていました。
また、ボディは高剛性のラダーフレームにキャビンを架装し、同年に登場した初代「パジェロ」と同じ機構のパートタイム式4WDシステムを搭載。小型キャブオーバーワゴンとしては日本初の本格的な4WD車でした。
エンジンは当初1.8リッター直列4気筒SOHCのみでしたが、後にディーゼルターボが加わりました。
足まわりは、フロントがトーションバースプリングのダブルウィッシュボーンで、リアがリーフスプリングのリジットアクスルとされ、長いストロークによって高い悪路走破性を実現。
本格的なオフロードカーに仕立てられたデリカ スターワゴン4WDは、アウトドア派のファミリー層から絶大な人気を獲得し、その後、代を重ねるとワンボックスワゴンからミニバンへと変貌を遂げ、現在の「デリカ D:5」へとDNAが受け継がれています。
●フォルクスワーゲン「ゴルフ カントリー」
フォルクスワーゲンは1974年に、世界各国でベストセラーとなった「タイプ1(ビートル)」の後継車として、FFコンパクトカーの初代「ゴルフ」を発売しました。
ゴルフはシンプルながらスタイリッシュなデザインと優れたパッケージングから広い室内を誇り、走りの良さも相まって、後にFFコンパクトカーのベンチマークとなりました。
その後、1983年に2代目が登場し、1990年にはフルタイム4WD車の「ゴルフ シンクロ」をベースとしたオフロードカーの「ゴルフ カントリー」が加わりました。
ゴルフ カントリーの開発と生産は、メルセデス・ベンツ「Gクラス」やトヨタ「GRスープラ」を生産している、オーストリアのマグナシュタイヤー(当時はシュタイヤープフ)が担当しました。
ボディは最低地上高210mmまでリフトアップされ、フロントにスチール製のグリルガードと下まわりを保護するアンダーガード、リアにはスペアタイヤキャリアが装着されるなど、見た目は完全にクロカン車です。
また、シャシは各部を補強することで剛性アップが図られ、タイヤはブロックパターンのオフロードタイヤを標準装備しており、高い悪路走破性を誇りました。
パワートレインは最高出力1.8リッター直列4気筒SOHCに5速MTの組み合わせのみでした。
ゴルフ カントリーは日本でも1991年に110台限定で正規輸入販売され、今ではかなりのレア車です。
●フィアット「パンダ クロス」
現在、フィアットのエントリーモデルとして人気の「パンダ」ですが、初代は1980年に誕生しました。
初代パンダの内外装のデザインは巨匠ジョルジェット・ジウジアーロの手によるもので、シンプルながら秀逸な外観とパッケージング、安価な価格で大ヒットを記録しました。
その後、1983年には前出のゴルフ カントリーと同じくシュタイヤープフによって開発された4WDモデルの「パンダ 4×4」が登場。その系譜を受け継いだのが、日本では2020年10月に150台限定で発売された「パンダ クロス」です。
パンダクロスは3代目「パンダ 4×4」をベースに本格的なオフロードモデルに仕立てられたモデルで、外観はパンダ 4×4とシルエットは大きく変わっていませんが、細部のデザインは専用となっており、とくにフロントフェイスはイメージが一新されました。
アンダーガード状の前後バンパーや、独自のデザインとなっているヘッドライトまわり、15mmアップされた最低地上高と相まって、オフロードカーらしいワイルドな印象です。
パワートレインはパンダ 4×4と同じく最高出力85馬力を発揮する900cc直列2気筒ターボエンジン「ツインエア」を搭載し、トランスミッションは6速MTのみが組み合わされ、フルタイム4WDシステムにはセンターデフに電子式デフロックを採用するなど、高い悪路走破性を誇ります。
パンダクロスは欧州ではカタログモデルでしたが、日本では前述のとおり2020年に限定販売され、好評だったことから2021年4月には第2弾として215台が限定販売されました。
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1990年代の日本では、クロカン車の爆発的ヒットにつながった「RVブーム」が起こりました。
そのブームに便乗するかたちで、当時は既存のクルマをベースにクロカン車風の外観に仕立てたモデルがいくつも登場しましたが、悪路走破性は高くなく、あくまでも見た目重視でした。
そのため、ヒットしたモデルはわずかで、ほとんどが短命に終わりました。
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