ホンダの4WDは雪道で役に立たない!? そんな噂を実際に「フィット」4WDモデルで走って確認してみた
ホンダ車といえば「FF」の印象が強く、一般的には4WDのイメージは薄いようです。2月の信州の雪道で、現行フィット4WDで走行してわかったその実力とは? モータージャーナリスト工藤貴宏氏によるレポートです。
実際に現行型「フィットe:HEV」4WDで信州の雪道を走ったところ…
ホンダ車の4WDは雪道であまり役に立たない……。
そんなことを耳にしたことがある人もいるかもしれません。はたしてその噂は真実なのでしょうか。

「では実際に雪道で乗って、確認してみてはどうでしょう」ホンダからそんなお誘いを受けて、雪道でホンダ車を試してみることにしました。
何を隠そう、筆者にとって雪道でのホンダの4WDは初体験。雪深い場所で、まずはハイブリッドの「フィット」の4WDモデルに乗り込みます。
「はたしてどうだろうか?」とドキドキしつつ、アクセルを踏み込み気味にスタートしてみると……おや、何も起きません。
「何も起きない」というと「4WDが役に立っていないのではないか」と思われるかもしれませんが、そうではなくむしろ逆。ドライバーが感じられるような反応遅れなく後輪にトルクが伝わり、後輪がしっかりと仕事をするからスリップなくスムーズに発進できるのです。
結論をいえば「ホンダの4WDが役に立たない」なんてことは決してありませんでした。
ホンダがフィットに組み合わせている4WDは「ビスカスカップリング式AWD」と呼ぶもの。「e:HEV」と呼ばれるハイブリッドモデルも同様です。
ライバルは独立したモーターで後輪を駆動する仕組みが増えていますが、そうではなくビスカスカップリングを通じてエンジンやフロントモーターの力を機械的に後輪へ伝えるのが特徴です。
驚いたのは旋回中の挙動。旋回中にハンドルを切りながらアクセルをグッと踏み込んでも車体がコーナーの外側へ向かっていくような挙動(アンダーステア)はなく、しっかり曲がっていくではないですか。これは、アクセルオン時にも後輪に強いトルクがレスポンスよく送られるからにほかなりません。
また、ビスカスカップリングの特性を踏まえ、前後のスリップ比が大きくなる(前輪と後輪の回転差が大きい=前輪がスリップしている)状態では、後輪へのトルク配分が増えて求められる駆動力に対応するように味付け。さらにハイブリッドモデルでは、モーター駆動による安定したトラクションコントロール制御が加わることで、発進初期から駆動力を発生し、そこから速度が高まっても前後輪ともに最適なスリップ量を維持するよう調律されています。
発進から旋回まで、不足も違和感もなく機能し、気持ちよく曲がれるうえに、挙動もスムーズ。フィットハイブリッドの4WDは雪道でしっかり頼れるし、運転しやすい4WDでした。
















