トヨタ「GR86」で挑むスーパー耐久シリーズ! バイオマス燃料で参戦するクルマづくりのスタートとは

GR86はついにエンジン始動、そしてシェイクダウンへ

 このように、先行開発車両はノーマルから大きく改修・変更されていますが、切った貼ったの一品対応ではなく全ての変更部位は量産車開発と全く同じ手法やルール、過程を経て行なわれています。

 その証拠に設計図や組み立て指示書が存在し、仮に「もう一台同じクルマが欲しい」と言われても即座に対応できるそうです。

 組み立ては凄腕技能養成部のメンバーが担当。ちなみに凄腕技能養成部はモリゾウこと豊田社長(当時は副社長)とマスタードライバーの成瀬弘氏が発足した“元祖”GAZOO Racingが発端で、モータースポーツを通じて“クルマ屋”としてのスキルを高めるための育成を行なう部署です。

 これまでニュル24時間に参戦してきた全てのマシンはこの部署のメンバーが製作しています。

最初はホワイトボディと言われる何もない状況から開発がスタートした
最初はホワイトボディと言われる何もない状況から開発がスタートした

 そうして迎えた2022年1月某日、車両に搭載したエンジンの火入れ式が行なわれました。

 開発では過去に何度も行なっている事ながら、毎回最初の始動は緊張すると言います。

 過去にはエンジンがウンともスンとも言わず、トラブルシュートにほぼ一日を費やした事もあったそうです。

 今回も予定通りとはいかず、1時間くらい押しましたが無事にエンジンは始動。それまでは緊張していたメンバーも、ホッとした表情に変わっていったのが印象的でした。

最初のシェイクダウンは各部の動作確認とチェック走行を行ない大きなトラブルもなく終えたという
最初のシェイクダウンは各部の動作確認とチェック走行を行ない大きなトラブルもなく終えたという

 そして、数日後、全ての組み付けが終わったマシンは富士スピードウェイのショートコースに運ばれシェイクダウン。

 各部の動作確認とチェック走行を行ないましたが、大きなトラブルもなく順調な滑り出しだったようです。

 このマシンが「モータスポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を進めるなかで、シーズンを通じてどのように進化・成長をするのか? そしてスバルとのガチンコ勝負の結果はどうなるのか? とても楽しみです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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