「なぜエンブレムが腐食?」温泉の成分でクルマは錆びる? メッキが緑色になる場合も! 適切な対策方法は

温泉地にクルマで出かけることもありますが、SNSなどでは「温泉地へ行くならクルマのサビつきに注意」といった声が見受けられます。一体どのような事情なのでしょうか。

「温泉地で劣化しやすい」は本当?

 SNSを見てみると、「温泉地ではクルマがサビやすい」という声が挙げられています。

 クルマのボディは経年劣化していくものですが、実際に温泉地では劣化が進みやすいのでしょうか。

温泉地の成分によってはメッキ加飾などが錆びることがあるという(画像はイメージ)
温泉地の成分によってはメッキ加飾などが錆びることがあるという(画像はイメージ)

 一般的にクルマのボディは、鉄やアルミ、合成樹脂などの素材から作られており、時間とともに経年劣化していきます。

 なかでも鉄はサビやすく、海の近くや豪雪地帯だと、潮風や融雪剤に含まれる塩分の影響によってクルマのボディが腐食してしまうケースが見られます。

 そうしたクルマの腐食についてSNSを見てみると、「温泉地をよく走行しているからクルマがサビる」「温泉地へ行くならクルマのサビつきに注意」「温泉旅館の送迎車がすごくサビててびっくり!」という声が挙げられています。

 このように、温泉地でクルマがサビつきやすいというのは本当なのでしょうか。

 大分県の温泉地付近に店を構える自動車販売店の整備士は、このことについて「実際に多く見られる事例です」と話します。

 天然温泉が湧き出る温泉地は日本各地にあり、「温泉」とひと言で表しても湯に含まれている成分はさまざまで、その性質である「泉質」も異なります。泉質によって効能が異なるため、人によって温泉の好みやニーズも分かれます。

 そんななか、日本で比較的多く見られるのが「塩化物泉」という泉質の温泉で、簡単に表すと塩分が豊富に含まれている温泉です。

 温泉街では、温泉が道路の側溝を流れていたり、温泉の蒸気が街に漂っていたりするため、空気が独特の匂いになっていることもあるでしょう。こうした温泉地の空気に含まれる塩分がクルマのボディの腐食を進めます。

 また、塩分のほかにもうひとつ重要となるのが「塩酸」です。泉質のなかには「酸性泉」といった酸性がかなり強いものがあり、これには塩酸が含まれています。

 本来、クルマのメッキパーツは硫酸や硝酸といった一部の酸性成分に強い耐性を持ちますが、とくにクルマ用いられることの多い「クロムメッキ」は塩酸には耐性が低く、簡単に腐食してしまいます。

 前出の販売店整備士はこのことについて、次のように説明します。

「当店付近の温泉の成分によるクルマの腐食事例のなかで、とくに多く見られるのがメッキ部分の腐食です。

 エンブレムをはじめ、外装にメッキ加工を施しているモデルでは、その部分だけが黒や緑に近い色へ変色してしまいます」

 すべての温泉に腐食の原因となる成分が含まれるわけではありませんが、温泉地でクルマを使用する機会の多いユーザーは、メッキパーツを中心に腐食対策を施しておくのが無難といえそうです。

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