もはや絶滅寸前と思いきやちょっと増えた!? 最新の高額なMT車3選
現在、日本の自動車市場で販売される新車のうちMT車が占める割合は1%台で、売れないなら作らないというスパイラルから、MT車のラインナップは減少したまま横ばいが続いています。とくにMT車の減少著しいのが高額な高性能モデルです。しかし、ここにきてわずかに増えてきました。そこで、最新の高額MT車を3車種ピックアップして紹介します。
ちょっと増えてきた高額なMT車を最新モデルからピックアップ!
ここ10年来、日本の自動車市場で販売される新車(乗用車)のうち、MT車の販売比率は1%台で推移しています。また、2019年の警察庁「運転免許統計」によると、AT限定免許の取得者割合は68.2%と3人中2人はAT限定免許を取得していることになります。
このようにMT車を買う人が減少した結果、メーカーもMT車の販売には消極的になり、ラインナップも少なくなったままの状態が続いています。
AT車は「イージードライブ」が可能というメリットがあり、1970年代から普及が始まりましたが、その後ATは多様化と進化を続け、現在は燃費や加速性能といった性能面でもMTを凌駕するようになりました。
そうした背景のなか、とくにMT車の減少著しいのが高額なスポーツカーやスーパーカーです。その理由はまさにATの進化によるもので、速く走るためにはMTよりもATが優れているからにほかなりません。
高額なクルマほどMT車の絶滅が危惧されますが、わずかながら高額なMT車が残っており、直近では新型車も登場しています。
そこで、最新の高額なMT車を、3車種ピックアップして紹介します。
●日産新型「フェアレディZ」
2022年1月14日に、日産は東京オートサロン2022の会場で、7代目となる新型「フェアレディZ」(日本仕様)を公開しました。
外観は随所に歴代Zのデザインエッセンスが散りばめられ、伝統的なロングノーズのファストバックスタイルを継承するなど、最新のデザインコンセプトのなかにクラシカルな面を融合させています。
搭載されるエンジンはシリーズ最強となる最高出力405馬力を誇る3リッターV型6気筒ツインターボのみで、トランスミッションは6速MTとマニュアルモード付9速ATを設定。
また、MTには先代の「Z34型」と同じく「シンクロレブコントロール」が採用され、シフトダウン時にエンジン回転数を自動で同期することでスムーズなシフトダウンがおこなえ、コーナー手前でステアリングやブレーキングに集中し、滑らかで安定した走りが可能となっています。
内装は新世代のZにふさわしい洗練されたデザインで、メーターパネルは12.3インチのフル液晶モニターとなっており各種インフォメーションを表示。センターコンソールにはオーディオやナビゲーションの操作と表示に対応した9インチ液晶モニターが設置されています。
さらに、歴代Zの伝統であるサブメーターをインパネのセンターに装備。3つのサブメーターはすべてアナログで、左が電圧計、センターはターボ回転計、右がブースト計です。
新型フェアレディZは2022年6月下旬から、ローンチエディションにあたる特別仕様車の「フェアレディZ プロトスペック」を皮切りに発売されます。
プロトスペックの価格は696万6300円(消費税込、以下同様)で、MT/ATとも同額です。
●トヨタ「GRMNヤリス」
前出の新型フェアレディZと同じく2022年1月14日に、トヨタは新型「GRMNヤリス」を世界初公開しました。
「GRMN」シリーズは「TOYOTA GAZOO Racing」が手掛けるコンプリートカーで、これまでも「86 GRMN」「マークX GRMN」「ヴィッツ GRMNターボ」「iQ GRMNスーパーチャージャー」など、ハイスペックな限定モデルが販売されてきました。
GRMNヤリスは、トヨタがWRC参戦で培った技術をフィードバックして開発されたスーパースポーツモデル「GRヤリス」をベースに、さらにチューンナップ。
外装パーツにカーボン製フロントフード、ルーフ、リアスポイラーなどが採用され、リアシートを撤去して2シーター化するなど、ベース車に対して約20kgもの軽量化を達成しています。
また、シャシはスポット溶接打点数を545点増やし、構造用接着材を12m長く塗布。さらに室内に補強ブレースを追加することで、ボディ剛性を大幅に向上してダイレクトな反応のハンドリングを実現したといいます。
搭載されるエンジンはGRヤリスの1.6リッター直列3気筒ターボをベースにチューニングされ、最高出力272馬力は同一ですが、トルクが370N・mから390N・mに向上。
6速MTのトランスミッションはクロスレシオ化とギアの表面処理による強度の向上が図られ、メタルクラッチを採用し、駆動力を最適化したローファイナルギヤが組み合わされています。
前後のディファレンシャルギアには機械式LSDを装備し、足まわりではビルシュタイン製の減衰力調整式ダンパーが装着されるなど、トラクション性能と旋回性能も向上。
GRMNヤリスには3タイプが設定され、標準仕様、サーキット走行を重視したオプションパッケージの“Circuit package”、あらゆる路面でのパフォーマンスを高めたオプションパッケージの“Rally package”のラインナップで500台の限定販売となっています。
価格は標準仕様が731万7000円、Circuit package仕様が846万7000円、Rally package仕様が837万8764円(装備により変動)で、1月14日から予約を開始しており、2022年夏以降に納車が始まる予定です。
●ポルシェ「911 GT3 with ツーリングパッケージ」
ポルシェを代表するモデルである「911」は現行型が8代目にあたり、「カレラ」シリーズはすべて3リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載。
一方、伝統的な自然吸気エンジン車であり、サーキット走行をメインに想定して開発された特別な高性能グレード「911 GT3」もラインナップされています。
初代911 GT3は1999年に「996型」ベースの限定車として登場し、次世代の「997型」からカタログモデルとなり、現在に至ります。
最新モデルは2021年6月に発表された「911 GT3 with ツーリングパッケージ」で、スタンダードなGT3に対してスワンネックの大型リアウイングが撤去され、電動格納式リアスポイラーを装備。
また内装もGT3に準じた2シーターですが、シックなカラーコーディネートが採用されました。
エンジンは4リッター水平対向6気筒自然吸気が搭載され、最高出力510馬力を8400rpmで発揮し、レブリミットを9000rpmに設定する高回転型です。
トランスミッションは911 GT3がDCTの7速PDKのみとなっているところ、ツーリングパッケージはオートブリッピング機能付の6速MTも設定されており、ストリートでのドライビングプレジャーを重視するコンセプトとなっています。
911 GT3 with ツーリングパッケージの価格は2296万円のワンプライスで、GT3も同額です。
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高額なMT車世界的にも数少ないのですが、比較的安価なモデルはまだまだ健在です。
むしろ日本の道路事情では、小型のボディでローパワーなエンジンにMTを組み合わせたモデルの方が、ドライビングプレジャーの点で勝るといえるでしょう。
しかし、今後は各メーカーともEVへのシフトが進み、トランスミッションを搭載するという概念もなくなりますから、MT車に残された時間はあまり長くないかもしれません。
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