TRD/NISMO/STI/MUGEN…各社自慢のチューニングカーに一気乗り!ワークスチューニンググループ合同試乗会に潜入
日本を代表するワークスチューニンググループ4社が合同試乗会を開催しました。各社が用意した総勢8台のクルマのチューニングには各社の思想・特徴が反映されていました。
ワークスチューナーが集結したワークスチューニンググループ合同試乗会
ノーマルモデルは多くのユーザーを対象とする商品の特性上、クルマの性格やセットアップなどは“、どちらかと言うと”万能性”や“汎用性”を重視する事が多いです。
ただ、人の好みは千差万別な上に、使用用途を限定すれば「ノーマルモデルでは物足りない」と言う人も出てくると思います。そこで、個々の好みに合わせて最適化する事が、クルマにおける“チューニング”の基本となります。
そのため、正しい知識なしに闇雲にチューニングを行なうと、オーナーの満足度は別としてもクルマとしての完成度はノーマルよりも劣ることも。そんなチューニングをある意味正しい方向に導く存在が、自動車メーカー直系のワークスチューナーと言えるでしょう。
ワークスチューナーはモータースポーツのために設立されたブランドが多く、そこでの活動で培った技術やノウハウをストリート用モデルにフィードバックさせたチューニングが特長です。そこで今回は、TRD/NISMO/STI/MUGENの4社がタッグを組んで開催する「ワークスチューニンググループ合同試乗会」に参加してチェックしてみました。今回は個々のモデルの話だけでなく、ブランドについても言及してみました。
まずは「NISMO」です。ここで言うNISMOとは2013年から展開がスタートされたNISMOロードカーではなく、NISMOレーシング直系の「NISMOパーツ」を意味します。
ノーマルの潜在能力を引き上げる…と言う部分は共通ですが、NISMOパーツは立ち位置をスポーツ側にシフトさせる機能系アイテムが主となります。解りやすく言うと「サーキット“も”走れる」ではなく「サーキット“が”走れる」チューニングです。
スカイライン400RはECUチューンとなる「スポーツリセッティングTYPE2」と「スポーツチタンマフラー」、「S-Tuneブレーキパッド」、「フロントアンダースポイラー」を装着されていますが、やはり注目はパワートレインの進化でしょう。
ノーマルでも十分パワフルですが、NISMOパーツ装着車は実用域のトルクの段付きが解消された事によるコントロール性と高回転域の吹け上がりの鋭さがアップ、より精緻で官能的とスポーツエンジンらしいフィーリングに変貌。フットワーク系はノーマルだったのでクルマのバランスとしては若干じゃじゃ馬方向ですが、ドライバーがコントロールできる範囲。むしろ「それをコントロールするのはドライバーの役目」と言われているように感じました。
発売されたばかりのノートオーラNISMOには適合確認中の鍛造アルミホイール「LM GT4S」と開発中の「フロントリップスポイラー/ルーフエクステンションスポイラー」を装着。
ホイールはノーマルに対して一本当たり数kgレベルの軽量化で、操作に対してキビキビした反応とメリハリのあるクルマの動き。軽快なノーズの入りとリアタイヤの接地性の高さはエアロパーツの効果によるものが大きく、強いダウンフォースと言うよりも前後バランスを整えている印象でした。
この2台、どちらも「元気であること」、「攻めたくなる」と言う共通項があり、そういう意味では日産車に“痛快”なワクワクをプラスさせてくれます。つまり、ノーマルだと甘口に感じる人向けに、ピリッと刺激を足すスパイスのような存在と言ったらいいでしょう。
次は「STI」です。自社でモータースポーツ活動を行なっていますが、その目的は「モータースポーツから量産車へのフィードバック」ではなく「モータースポーツを用いて量産車技術を証明」と他ブランドとはアプローチが逆な事です。つまり、ドライバーがクルマに全幅の信頼を寄せられる「意のままの走り」、天候や路面状況に左右されない「懐の深さ」、そして、ドライバーが走り続けられる「快適性」はレーシングカーもロードカーも同じ…という考えなのです。
注目は独自理論のフレキシブル補剛アイテムです。これは剛性アップではなく剛性のバランスを整える事が目的で、BRZにはフロント:フレキシブルVバー/リア:フレキシブルドロースティフナー、フォレスターにはフロント:フレキシブルタワーバー&フレキシブルドロースティフナー/リア:フレキシブルドロースティフナーが用意されています。
これが効果テキメンで、ステアリングを操作した時の応答性の良さはもちろん、前後バランスが変わったかと錯覚するくらい4輪を使って曲がる感覚、更にはサスペンションを交換したかのような吸収性の良さ&シットリとした足の動きと、例えるならば走りに関わる全ての部位の精度が増した感じです。
BRZは、フォレスターで感じた感覚に加えて、旋回中心がよりセンターに来た感じで、より一体感が高まり、ドライバーの操作により忠実ですが、クルマの動きはシャープではなくむしろ穏やか。直進安定性の高さはエアロパーツの相乗効果もあるようです。乗り心地はより軽やかなステップに感じましたが、これはBBS鍛造アルミホイールとローダウンスプリングの効果も大きいはずです。
この2台、どちらも走りの純度を高めノーマルの潜在能力を最大限に引き出されているような気がします。一つ気になるのは「走り」と「見た目」のギャップ。走りは上記のような方向性ですが、見た目は硬派なイメージなので、装着すると「タイムアップする」、「速くなる」と思われがちな事です。もちろん、結果的としては速くはなりますが、そこが目的ではない……と言うことを、今まで以上に啓蒙していく必要があると思っています。
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