見た目だけで判断しないで! 機能と美学をまとったクルマのこだわり塗装モデル5選
職人技のような深みのある赤が、企業を象徴する色に
●マツダ車:職人技の仕上がりが映える「匠塗 TAKUMINURI」
マツダ車といえば、最近は輝きが一味違うボディカラー「ソウルレッド」を思い浮かべる人も多いと思います。
このソウルレッドは、これまでの塗装とは一線を画した、職人の手塗りに匹敵するかのような質感を量産化することに成功した「匠塗 TAKUMINURI」によるものです。
職人の場合は、塗った結果を見て何度も微妙な調整をしながら塗り重ね、相当な時間をかけて仕上げていきます。
匠塗は、職人が何を感じて、何を調整しているのかを分析し、それをロボットの軌跡に置き換えて、シミュレーションによる膜厚分布を何度も取りながら最適化して完成させています。
その匠塗で初めて実現できたのが、2012年に3代目「アテンザ」とともに登場した「ソウルレッドプレミアムメタリック」です。その後、初代「CX-5」などの多くのマツダ車に展開され、マツダ車のイメージカラーとなりました。
従来の3コートのマイカ塗装では、ボディの上にソリッドカラーが塗装され、2層目に反射層(マイカ)、そして表面にクリア(透明)が塗装されていました。
ソウルレッドプレミアムメタリックは同じ3コートですが、ボディの上に高輝度のアルミフレークを規則正しく配置し、2層目に光を受けて鮮やかに発色する半透明のカラー層を塗装、そしてその上にクリア層を塗装しています。
これによって、1層目のアルミフレークに反射した光が、2層目のカラー層で鮮やかに発色し、光の反射がないときは1層目と2層目の赤が重なり、深みある赤を表現しています。こういった新たな塗装構成がこれまでの赤とは違う豊かな表情の変化を実現しているわけです。
そして、2017年に2代目「CX-5」が登場した際に、さらに深化して登場したのが「ソウルレッドクリスタルメタリック」です。
この新しいクリスタルメタリックは、従来のプレミアムメタリックと比較して、彩度が約2割、深みが約5割増し、より透明感のある艶やかで深みのあるカラーとなっています。
透過層には、新開発の高彩度な赤色の顔料を用いることで、赤色をよりピュアに発色させています。また反射層には、極薄の高輝度アルミフレークに加えて、光を吸収してシェードの濃さを強める光吸収フレークを採用することで、従来は2層必要だった深みの表現を1層で実現しています。
また、アルミフレークのサイズを均一化するとともに、塗装の精度向上と乾燥工程で塗膜の体積を収縮させる手法により、アルミフレークと光吸収フレークのボディ面への均等かつ平滑な分布を実現し、より緻密に光の反射をコントロールしています。
これにより、ハイライトの鮮やかさとシェードの深みが大幅に向上しています。そして、この新しいソウルレッドも順次マツダの各モデルに展開されています。
なお、匠塗はソウルレッドのほか、ガンメタリックカラーの「マシーングレープレミアムメタリック」も用意されており、マツダこだわりの「魂動デザイン」と相まってマツダ車の美しさを引き立てています。
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クルマのカラー選びは、中古車として売却するときを意識してブラックやホワイトを選ぶ考え方もありますが、そのモデルの開発者の強い思いを形にしたこだわりのカラーにするという選択肢もあります。
いずれにしても、クルマの塗装の魅力は、カタログだけでは完全に分からないことも多いため、購入を考える際は実車でその色の魅力を感じて選べば間違いないと思います。
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