大ヒットしてホンダを救った!? ミニバンブームをけん引した初代「オデッセイ」を振り返る
1994年10月に誕生したホンダ「オデッセイ」は、2021年をもって国内販売を終了しました。なかでも初代はミニバンクラスをけん引してきたモデルで、「家族や仲間たちとともに、楽しく移動できるクルマ」をコンセプトに掲げ、日本に“ミニバン”という家族のクルマを根付かせた先駆者として多くのユーザーから支持されました。
家族や仲間たちとともに楽しく移動できるクルマ
クルマが単なる移動手段ではなく、生活を豊かに彩るためのツールとして選ばれるようになった1990年代。とくにワゴンやクロカン4WDといった多目的に使えるクルマは、アウトドアレジャーを嗜む人たちから絶大な支持を集め、自動車界にはRVブームが巻き起こりました。
このブームに乗って三菱「パジェロ」、トヨタ「ハイラックス」、スバル「レガシィツーリングワゴン」といった車種が販売台数を伸ばすなか、「アコードワゴン」以外のRV車を持たなかったホンダは、RVブームに乗れずに販売シェアを失い、業績は悪化の一途をたどっていました。
新型RVの開発はまさにホンダの社運をかけたものでしたが、ホンダは日本国内の状況を鑑み、競合が多いワゴンやクロカン4WDではない独自の価値を持ったRVを生み出そうと考えました。
そこで新型車の開発にあたり掲げた大きなテーマは、「家族や仲間たちとともに、楽しく移動できるクルマを具現化すること」。
多人数が乗れることを前提としたうえで、座席によって機能性や快適性に差をつけない。「乗る人全員が主役」という発想が開発の原点となったのです。そうして生み出されたのが初代「オデッセイ」でした。
初代オデッセイが登場する以前にも、多人数乗車ができる車種は存在しましたが、その多くがキャブオーバー型のワンボックスカーでした。
多人数が乗れて、荷物の積載性にも優れていましたが、商用車をベースにしているため乗り心地や操縦安定性は一般のクルマよりも劣っていました。
ホンダはそこに活路を見出すべく「空間の使いやすさと快適性」「セダンと同等の爽快な走りと快適な乗り心地」「乗員すべてを守るハイレベルの安全性能」という3つのテーマを軸に開発を進めました。
しかし、経営危機が囁かれていた当時のホンダには、すべてを新規に開発する余力はありません。
そこでホンダは、既存の車種をベースにしたクルマ作りを推進します。初代オデッセイを乗用車ライクな多人数乗りとするためにベースとして選んだのは、アコードでした。
この選択は、先述した3つのテーマを具現化するだけでなく、開発や生産コストを削減するという点においても大きな意味があったのです。
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