スタイリングも中身もかなりイケてた! 隠れた名車といえるクーペ3選

近年、人気の低下から極端に少なくなってしまったコンパクトなクーペですが、1990年代まではラインナップも豊富でした。そこで、往年のクーペのなかから見た目もスペックもイケてたモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

かなりイケてた往年のクーペを振り返る

 現行モデルのクルマのなかで、世界的にも貴重な存在となってしまったのがコンパクトなサイズのクーペです。かつては豊富なラインナップを展開していましたが、ニーズの変化によって急激に減少してしまいました。

スタイリッシュなだけでなくハイスペックだった往年のクーペたち
スタイリッシュなだけでなくハイスペックだった往年のクーペたち

 日本の自動車市場では1970年代から1990年代まで、コンパクトな2ドアクーペ/3ドアハッチバッククーペは若い世代のユーザーを中心に人気を集めていました。

 そのため、各メーカーとも数多くのクーペを販売していましたが、2000年代には人気の低迷から生産終了が相次ぎ、現在はもはや絶滅が危惧されるほどです。

 しかし、往年のクーペのなかにはスタイリッシュなデザインのモデルに加えて、ハイスペックなモデルも存在。

 そこで、見た目もスペックもイケてたクーペを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「カレン」

シックなデザインで大人の雰囲気がただようスポーツクーペの「カレン」

 かつて、トヨタのラインナップでクーペといえば、「セリカ」や「カローラレビン/スプリンタートレノ」を筆頭に、複数のコンパクトなモデルがラインナップされていました。そのなかの1台が1994年に登場した「カレン」です。

 カレンは6代目「セリカ」をベースに開発され2ドアクーペで、薄型のコンビネーションランプとフロントグリルによる精悍なマスクに、ロー&ワイドな美しいスタイリングが特徴のモデルです。

 トップグレードの「ZS」には最高出力180馬力を発揮するパワフルな2リッター直列4気筒自然吸気の「3S-GE型」を搭載し、フロントサスペンションにセリカと同じく「スーパーストラット・サスペンション」が設定されるなど、優れた走行性能とハンドリングを実現。

 また、インテリア全体は落ち着いた雰囲気のグレー系で統一する一方、本格的なスポーツシートが採用されるなど、硬派なコクピットと柔らかな居住空間を両立していました。

 随所にこだわりをもってつくられたカレンは一定の人気を獲得しましたが、クーペ人気の低迷からフルモデルチェンジされることなく、一代限りで1999年に生産を終えました。

●三菱「エクリプス」

アメリカ生まれの高性能クーペで日本でも人気となった初代「エクリプス」

 三菱は1985年にクライスラーと提携して、アメリカで合弁会社の「ダイヤモンドスター・モーターズ(現、三菱モーターズ・ノース・アメリカ)」を設立しました。

 そして、1989年には北米市場向けに現地で企画・開発された3ドアハッチバッククーペ、初代「エクリプス」が発売され、日本でも1990年から左ハンドルのまま輸入・販売されました。

 初代エクリプスは6代目「ギャラン」をベースに開発されたモデルで、外観ではリトラクタブルヘッドライトを採用したフロントフェイスに、伸びやかで空力性能も考慮されたスタイリッシュなフォルムが特徴でした。

 トップグレードの「GSR-4」には、ギャラン VR-4よりも5馬力デチューンされていましたが、最高出力200馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載。

 さらにビスカスカップリングのセンターデフを採用したフルタイム4WDを組み合わせ、トランスミッションが5速MTのみとされるなど、硬派な4WDスポーツカーというコンセプトでした。

 今では考えられませんが、当時は左ハンドルのクルマがステータスシンボルであり、エクリプスもスタイリングや走りの良さも相まって一定の人気を獲得しました。

 その後、1994年に2代目が登場し、2004年から3代目のオープン仕様「エクリプススパイダー」が日本に輸入されましたが初代ほどの人気とはならず、4代目は日本で販売されませんでした。

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●ユーノス「プレッソ」

まさにバブル景気を象徴するほど贅沢なエンジンを搭載した「プレッソ」

 マツダはバブル期に、販売チャネルを5つまで拡大し、そのひとつ「ユーノス」ブランドから1991年に、コンパクトな3ドアハッチバッククーペ「プレッソ」を発売しました。

 外観は、ボディサイド方向にリアウインドウが大きくまわり込んだ「ラップラウンドウインドウ」を採用したリアハッチが特徴的で、全体のフォルムは前傾姿勢を強調したスピード感あふれるデザインです。

 そして、プレッソ最大のトピックスは、当時世界最小の1.8リッターV型6気筒エンジンを搭載していたことで、最高出力140馬力(後にハイオク仕様となって145馬力に向上)を発揮。洗練された走りによる高級感を演出することを目的に開発され、まさにバブルの申し子といえました。

 しかし、フロントヘビーによる前後重量バランスの悪化と燃費の悪さは否めず、1993年には姉妹車のオートザム「AZ-3」と同じ1.5リッターエンジン車を追加。

 プレッソは技術的にはかなりの力作といえ、マツダの経営状況の悪化から1996年にユーノスブランドが廃止された後も販売を継続しましたが、1998年に生産を終了。後継車はありませんでした。

※ ※ ※

 最後に紹介したプレッソは、バブル期前後のマツダの栄枯盛衰を象徴するモデルといえるでしょう。

 同時期にはアンフィニ「RX-7」やユーノス「コスモ」「800」「ロードスター」、オートザム「AZ-1」など、数多くの名車が誕生しており、マツダの勢いは凄まじいものがありました。

 しかし、前述のとおりバブル崩壊によってマツダの業績は急速に悪化し、1996年からフォード傘下となって経営再建を図り、2015年には再び独立して現在に至ります。

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