「実車見てからでは遅い?」 なぜ新型車販売「先行受注」主流に? 発売日に注文で納期数か月待ちも
先行受注が定番化するイマ、正式発表の意味とは
このように先行受注が定番化するなかで、その後に控える正式発表や発売をおこなう意味はあるのでしょうか。
前出の国産メーカー担当者は次のように話しています。
「クルマを販売するには、メーカー、販売会社(販売店)がそれぞれそのクルマをアピールするために準備が必要です。
その準備を終えるゴールとして正式発表日を設けており先行受注はあくまでもその準備のひとつといえます。
また、先行受注はあくまで公にやることは少ないため、ユーザーに対して明確にお披露目する場として『正式発表』というものを設けています。
最近では多くなったティザー告知(画像や動画)もそのひとつで、正式発表に向けて盛り上げるためにそれらをおこなっています」
では、正式発表に先駆けてデザインやビジュアルを公開する意味はあるのでしょうか。
国産メーカーの宣伝担当者は次のように説明しています。
「正式発表前にどの程度の情報を世に明かすかは、メーカーや車種により異なります。
ただし、最近ではSNSの普及もあり、海外で先行して発表した情報が国内でも気軽に見られるため、グローバルモデルでは『ワールドプレミア』と称してデザインをお披露目することもあります。
一方で、顧客向けの先行受注情報がSNSで一般の方へ露出してしまうこともあり、それを見越してティザーを公開することもあるため、それぞれの情報公開には意味があるといえます」
このように最近の新型車では、先行受注で多くの台数を確保している形となりますが、それによる弊害も出ているようです。
前出とは別の販売店担当者は、次のように話しています。
「先行受注の場合、実車が見られないことがほとんどです。そのため、実車を見てから検討したいという人は発売日以降に店頭に並んだ実車を見ることになります。
ただしその場合、先行受注開始から短くても1か月近くの差が存在するため、その分納車時期が延びる傾向にあり、実車を見てから決めたいというお客さまには大変ご迷惑をお掛けしています」
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さまざまな事情によりおこなわれる先行受注ですが、ユーザーにとっては実車を見ないで購入(受注)するということになります。
自動車メーカーにとっては戦略的な手法だとしても、ユーザーとしてはもどかしい状況となるようです。
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