なぜスピードメーターは実際より速い速度を表示? 車検で“速度の誤差”が許される訳とは
実際の速度より表示される速度のほうが速い理由は?
車検ではスピードメーターの検査がおこなわれます。
検査用のローラーにクルマを載せてスピードメーターが40km/hを指す状態で走行し、実速度を計測するのですが、ローラーに付いている回転数計測センサーから送られてくる数値情報で測定し、車検の合否が判断されるといいます。
「ここで注意したいのは、スピードメーターの数値は実測ではなく、あくまでも想定値ということです。というのも、タイヤは走行することで摩耗するため、新品のときと摩耗が進んだ状態では外周長が変化してしまいます。
たとえばタイヤの溝が4mm減れば直径が8mm小さくなり、そうなれば外周長も短くなります。またタイヤの空気圧によっても外周長は変わります」(T整備士)
ちなみに車検場の検査では前後10km/h程度までは誤差の範疇としてパスできるそうです。これもタイヤの摩耗や空気圧により外周長が変化することを想定した許容範囲ということでしょう。
また、スピードメーターに表示される速度は、実際の走行速度より速い数値になっているといいます。
これはタイヤの外周長変化の影響もありますが、実際よりも速いスピードを表示することで法定速度の超過を減らす効果があるということのようです。
高速道路では実際より5%ほど速いスピードがメーターに表示されており、メーター読み100km/hで巡航していても、実際は95km/hから100km/h程度で走っているということになります。
前述のように、最近の「電気式」や「電子式」のスピードメーターが壊れることはそれほど多くありませんが、不具合など何らかの理由で交換することがあります。
その場合、走行距離の表示がリセットされてしまうのですが、これまで走った距離はどうなるのでしょうか。
「ディーラーなどで交換した場合、整備手帳に以前のメーターで記録された距離が記載されています。さらに実走行距離が記載されたメーター交換を示すシールが貼られ、車検も問題なく通ります」(T整備士)
それでは、スピードメーターが故障するときは前兆みたいなものはあるのでしょうか。
「注目してほしいのは針の動きです。走行中のアクセル操作とは別に上下に波打つ、または一部の速度までは無反応で突然動き出すなどです。
目で見て感じる違和感がある場合はメーターの故障や車速センサーなどに何らかの不具合が出ている可能性もあり、そんな症状が出てきたらディーラーなどに相談してみてください」(T整備士)
スピードメーターの不具合はそうそう出るものではありませんが、だからこそ動かなくなると慌ててしまいます。
メーターの故障で速度がわからない場合は周囲の流れに合わせて走り、早めに整備工場やディーラーなどで修理してもらうのが良いでしょう。
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